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2018.08.03

「かぜ」を治す薬はない!

こんにちは。ウィンゲートトレーニングセンター、ボデイケア事業部の岡田です。

私は薬剤師として薬局でも勤務をしているのですが、最近、「風邪をひいた」という患者さんが増えてきているように感じます。エアコンで身体を冷やしてしまっているせいなのか、連日の猛暑で疲労が蓄積してしまっているのか・・・。

 

さて、風邪をひいた時は色んな対処をされているでしょうか。

・気合で治す

・家にある風邪薬を使う

・ドラッグストアで相談

・病院へ受診する

 

・・・など、人それぞれかと思います。

 

風邪薬といえば〇ファリン、パ〇ロン、ル〇、〇ンタック、ベン〇〇ロックなどを思い浮かぶ方が多いのでは?CMでも良く流れていますね。

では、これらの風邪薬は「風邪の治療薬」として知られますが、それは風邪を「治す」薬なのでしょうか?

 

また、「病院に行ったけど抗生剤をくれなかった」「風邪をひいた時に使うために抗生剤をもらった」「ちょっと調子の悪い時に抗生剤を飲むとすぐに治る」といった声を聞きます。

「抗生剤」と聞いてピンと来る方もいるのでは?今日は風邪と抗生剤の関係についても触れてみたいと思います。

 

 

 

風邪とは?




 

「抗微生物薬適正使用ガイドライン」では、発熱の有無は問わず、鼻症状、喉の痛み、咳・痰の 3つの症状が「同時に」「同程度」存在するウイルス性の急性気道感染症を風邪だとしています。

狭い意味での「急性上気道感染症」から、「上気道から下気道感染症」を含めた広い意味まで、様々な意味で用いられることがあります。また、発熱や倦怠感などの種々の体調不良を「風邪」として認識することが多いと言われています。

そして、「風邪」の原因はほとんどが「ウイルス性」のものです。これは風邪を理解する上で大変大事なことです。急性上気道感染症の原因の9割はライノウイルスやコロナウイルスであるという報告があります。

 



 



「抗微生物薬適正使用ガイドライン第一版」によると、「風邪」という症状を訴えて受診される方は上記の様に分類がされています。

 

 

風邪薬は風邪を治すのか?




鼻水が出る、熱がある、咳が出る、喉が痛い・・・・と、そんな時は早く症状をやわらげたくて風邪薬を使う場面も出てきます。では、風邪薬ってそもそもどんなものが入っているのでしょう?

とある総合風邪薬の成分の一例です。

・イブプロフェン:痛みや熱を和らげる

・クレマスチンフマル酸塩:鼻水を和らげる

・ブロムヘキシンン塩酸塩:痰をの切れを良くする

・dl-メチルエフェドリン塩酸塩:咳の症状を和らげる

・ジヒドロコデインリン酸塩:咳の症状を和らげる

・無水カフェイン:鎮痛成分の働きを助ける

 

ほとんどの総合感冒薬で共通なのが、「痛みや熱を和らげる」「咳止め」「鼻水を和らげる」といった目的の成分が含まれます。ここで見て頂きたいのが、すべて「症状を和らげる」目的の成分であるということ。「風邪」の根本的な原因に対するものではありません。出ている症状に対して行う治療を「対症療法」と呼びますが、風邪の治療で用いる薬は「対症療法」が目的のものです。

つまり、あくまでも出ている症状を抑えるものです。

「風邪薬を飲んで症状が治まった=風邪が治った」ということではありません。風邪は基本的には自分の免疫力で自然と治っていくものなのです。

 

 

抗生剤は使えないの?




冒頭でも書きましたが、「風邪ひいたから抗生剤がほしかった」という声を聞くことがあります。最近はかなり減ってきましたが、「風邪に抗生剤が良く効く!」というのは誤解です。

ただ、お医者さんは「風邪」という言葉の方が患者さんにとって受け入れやすいため、抗生剤が必要な症状の場合でもあえて風邪だという説明をしているかもしれません。

しかし、厳密には「風邪」には抗生剤は必要ありません。「抗微生物薬適正使用ガイドライン」でも風邪に対する抗生剤の使用は推奨していないのです。

 

 

抗生剤(抗菌薬)は細菌に効くもの!


風邪の原因のほとんどは「ウイルス」です。

そして、「細菌」と「ウイルス」は別のもので、「ウイルス」は細菌よりももっと小さなものです。「細菌」対して使用するものは「抗生剤(抗菌薬)」で、「ウイルス」に使用するものは「抗ウイルス薬」です。

インフルエンザの時に処方される薬は「抗ウイルス薬」。インフルエンザ原因は細菌ではなく「ウイルス」です。

従って・・・・「ウイルス」が原因の風邪に「抗生剤」を使っても効果がありません。抗生剤(抗菌薬)を使うことで治りが早くなるということはなく、使わない場合と比べて副作用の頻度が2倍以上高まることも報告されています。

 

では、風邪の原因ウイルスに対する「抗ウイルス薬」はないのか?

原因ウイルスが様々で、しかもウイルスというものは変異を起こすため開発することが難しいとされています。風邪の特効薬が開発されることはノーベル賞級とも言われているくらいです。

 

 

風邪をひいたら・・・


 

まずは無理せずにしっかり休みましょう。

風邪の経過は、発症から 3日目前後を症状のピ ークとして、7~10日間で軽快していくと言われています。万が一、徐々に症状が悪化していったり、一旦治りかけたものがまた再燃してきたりした場合にはいわゆる風邪ではなく、細菌感染の可能性もあるため受診することをお勧めします。

また、原因不明な熱だけで他の症状がない場合や、つばを飲み込めないほどの喉の痛みなどがある場合にも、まずは病院に行って診察を受けた方が良いでしょう。

症状が辛ければ風邪薬を使うことも良いですが、以前飲み残した抗生剤があったからといって安易に使うことは勧められません。抗生剤は医師の診断のもと、必要な場合に限り使うようにしましょう。

 

最後に、今まで何度もお伝えしておりますが、アスリートは安易に市販薬を使わない様に・・・・