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2018.06.23

アンチ・ドーピングのルールを知ろう!②

こんにちは。ボディケア事業部の専属トレーナー岡田英之です。昨日に引き続き投稿させて頂きます。

昨日は「アンチ・ドーピングのルール」について、ドーピングがなぜ禁止されているのか、どんなことをすると規則違反となるのかについて紹介を致しました。

今回は身近にあるリスクなど、アスリート自身もですが、選手に関わる全ての人に意識をして頂きたいことについてのお話です。

 

トップアスリートだけの問題ではない!



 

「ドーピング」と聞くと、テレビやインターネットの中の世界で、自分には関係ないと考えられている方がほとんどではないでしょうか?

もちろん、検査対象になる可能性が高いのは上位入賞者ですし、[ドーピング検査」という意味では関わりが少ないでしょう。

ただ、前回も紹介したように、「スポーツの価値」という側面で考えて頂くと、スポーツをする上でアンチ・ドーピングのルールとは、各競技のルールと同じくらい重要なものであるということを是非ご理解頂きたいです。

 

 

 

 

 

 

そして、アンチ・ドーピング規則違反のリスクは身近にあるということはご存知でしょうか?

 

 

 

 

さて、ここで一つ問題です。

〇下記の中で禁止物質(スポーツの世界で使用が禁止されているもの)を摂取した可能性があるものはどれでしょう?

  1. ①病院でもらった風邪薬を飲んだ

  2. ②風邪気味だったので、市販の栄養ドリンクを飲んだ

  3. ③喘息の発作が出たので発作用の吸入薬を使った

  4. ④湿疹が出たので軟膏を塗った

  5. ⑤冷え性を改善するために漢方薬を使った


 

 

いかがでしょうか?

 

 

 

実はこれ、トップレベルで活動しているアスリートでも間違えることがあるのです。

 

 

 

 

 

 

 

正解は「①~⑤全て」可能性があります。

飲み薬ではないものにも違反の可能性があることは意外と知られていない事実です。①~⑤は全て一般的に使用されているもので、特別なものではありません。

気軽に使えるもの、風邪薬など特にドラッグストアで簡単に購入できるものにも禁止物質が入っていることが多いので注意が必要です。

以前、競技団体が用意していた風邪薬ではないものを自己判断で使用した際に、その薬に禁止物質が含まれていたために競技会を欠場したという事例があります。

 

禁止されるのは飲み薬だけではない!



そもそも禁止されるものは「禁止表国際基準」というものに定められています。

そこでは

①常にに禁止される物質と方法

②競技会外で禁止される物質と方法

③特定競技において禁止される物質

が掲載されており、具体的な成分や場合によっては投与経路などが記載されています。

 

投与経路によっては禁止されない物質もありますが、基本的には、「投与経路に関わらず、体の中に入るものは全て禁止物質摂取の可能性がある」と考えておいた方が良いでしょう。

貼り薬でも目薬でも塗り薬でも、使用した後は体内に吸収されます。

 

過去には喘息で使用される貼り薬を使用したことで規則違反となり、制裁を科された選手がいます。また、塗り薬の育毛剤を、髭を濃くする目的で使用したことで違反となったケースもあります。

 

もちろん使用できる薬はたくさんありますが、使用可否の確認を怠ると禁止物質の摂取につながる恐れがあるのです。

 

そして、一般的には副作用が少なく安心だと理解されている漢方薬は、実はスポーツの世界では使用がお勧めできません。

 

漢方薬・生薬は基本使わない!!



マオウ・ハンゲ・ホミカ・カイクジン・ジャコウ・ゴシュユ・ナンテンジツ・ブシ・チョウジ・サイシン・・・・これらの生薬については禁止物質と規定されている成分が含まれているため、使用することが出来ません。

マオウは葛根湯、麻黄湯、小青竜湯などに含まれます。

従って、

◎風邪のひき始めだからと言って葛根湯を飲んで大会に出てはいけません!!

◎花粉症の治療で小青竜湯を飲むことは勧められません!!

 

では、これ以外の漢方薬は使えるのか?

 

 

 

 

 

 

答えは「不明」です。白か黒かと言ったら、グレーゾーンです。

漢方薬は生薬の組み合わせで作られます。生薬は植物の根っこや実などを利用してそれを煎じてエキスにしたりして摂取します。では、例えば植物の根っこを煎じたものの中にどんな成分が入っているか、全てわかるでしょうか?

 

 

 

 

・・・・わかりませんね。

 

だからグレーゾーンなのです。もしかしたら禁止物質と同等のものが含まれているかもしれませんが、「不明」です。

しかも漢方薬は生薬が何種類も配合されているので尚更何が入っているかわかりません。

従って、漢方薬はグレーゾーンであっても黒と考え、使わないようにすることをお勧めします

 

ちなみに、高い栄耀ドリンクになると「生薬配合」のものが多くなりますが、やはりこれも使うことは勧められません。

 

 

当事者意識を持つ


「ドーピング」は自分が検査対象になったり、家族など身近な人が関係してこない限りなかなか意識して注意することが難しいことかと思います。

先日、とある陸上競技大会でアンチ・ドーピングのアウトリーチ活動(ブースを設置し啓発活動をする)に参加した際に、こんな方と出会いました。

  1. ①選手:今後トップを目指したいので勉強しておきたい

  2. ②ご家族:娘が大きな大会で初めて表彰台に上がったが、今まさにドーピング検査をしている

  3. ③トレーナー:選手が今検査中。尿量が足りないのでまだ解放されない


実際にドーピング検査に関わっている方や今後検査対象になるレベルを目指す選手は、当事者意識がかなり強かったです。

 

しかし、②のご家族は初めてのドーピング検査だったため、そのルールについては今まで全く気にしていなかったそうです。

  • ▢「市販の風邪薬」「サプリメント」「栄養ドリンクなどの差し入れ」といったものに注意が必要であること

  • ▢自宅にある常備薬を是非見直して普段から使用可能な薬を取り揃えておくこと


この様な話をさせて頂いたところ、大変真剣に聞いてくださいました。やはり、突然「ドーピング」というものが現実味を帯びたため一気に意識が高まった印象です。

 

この様に、現時点ではまだトップレベルにいない選手でも、何かのきっかけで芽が出て一気にトップレベルまで駆け上がるという選手もいます。その時に本人はもちろんのこと、家族・トレーナー・チームメイト・指導者など選手の身近にいるスタッフがしっかりルールを把握しておくことで選手をアンチ・ドーピング規則違反から守ることが出来ます。

 

「そんなに強くないから関係ないや」ではなく、アンチ・ドーピング規則は知っておくに越したことはありません。

その知識・ルールの理解が選手を守ることになるのです。