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2018.09.15

ケガに注意する?

こんにちは。東京都板橋区にある運動総合施設ウィンゲートトレーニングセンターのアドバイザリースタッフ紀平です。
スポーツ選手がインタビューで「ケガに注意して頑張ります!」などと答えている場面を見たことがある人は多いでしょう。
では、何に注意すればケガをせずにプレーできるのでしょう?
そこまで深く考えて「ケガに注意している」選手がいるかは不明ですが
せいぜいケアに時間を割く程度で
本当に「ケガしないために必要なこと」を実施している選手は少ないのではないでしょうか。

ということで、今回は「ケガに注意する」を正しく理解しましょう。

1.足首の捻挫を予防する



スポーツで多く発生するケガの1つに足首の捻挫がありますが
足首の捻挫を予防することは可能でしょうか?

テーピングやサポーターを着用すれば予防できそうですね。

しかし、テーピングやサポーターは
再発防止には役立つものの
初回の捻挫を予防する十分なエビデンスはありません

ですから、足首の捻挫をしたことがある選手が
「ケガに注意する」なら
捻挫したことのある足首にテーピングやサポーターを装着することになるでしょう。

2.ケアを充実させる



疲れがたまるとケガを起こしやすくなると考えられます。
そのため、ケアに時間を割く選手が多くいます。
たとえばセルフストレッチはその代表でしょう。

しかし、ストレッチを実施しても、ケガは減らないことがわかっています。
ストレッチを一生懸命やったからといって
「ケガに注意する」ことにはなりません。

また、補強トレーニングとして知られる、いわゆる「バランス」のトレーニング
足首の捻挫の予防効果があると指摘する研究や
効果がないとする研究などが混在していて
あまり明瞭な答えは出ていないようです。

ですから、積極的にコンディショニングに努めたからといって
「ケガに注意する」ことには直結しないようです。

3.筋力トレーニングを実施する



さらに攻めの姿勢を貫いて
強ければケガしない!と筋力トレーニングを実施する選手もいるでしょう。

筋力トレーニングは、ストレッチなどに比べても
ケガ予防の効果が大きいことがわかっています(Jeppe Lauersen, 2014)。
筋力トレーニングを実施するとケガの発生率が約30%になることがわかっています。

ですから
「ケガに注意する」ためには、筋力トレーニングを実施すると良いでしょう。

メディアで「ケガに注意する」と語っている選手も
きっと「筋力トレーニングを実施する」という意味で口にしているのでしょう!

4.しかし、疲れも考慮する



筋力トレーニングを実施すれば良いからといって
疲れを無視して実施したら、かえってケガを発生させてしまうでしょう。

ですから、事前に計画を立てて
筋力トレーニングを練習計画の中に含んでおきます

具体的には4週間の移動平均練習時間と当該週の練習時間から
相対的強度を算出する方法が勧められていますが
はじめて読む方には難しい内容なので、過去のポストを参考にしてください。

ランナーが知るべきは月間走行距離ではなく移動平均だ

こんにちは。東京都板橋区にある運動総合施設ウィンゲートトレーニングセンターのアドバイザリースタッフ紀平です。 ...



これが中長期的な計画の下に実施する
「ケガに注意する」アスリートの生活でしょう。

さらに、その日の疲れを翌日に持ち越さないように
睡眠は8時間以上、可能であれば昼寝も含めて10時間以上を確保します。

8時間未満の睡眠ではそれ以上に比べて
1.7倍ケガしやすいことがわかっています。

「ケガに注意する」というなら、そして疲れているなら
「とりあえず寝とく」というのも正解です。

もちろん睡眠の前には
睡眠の質を高めるために入浴が勧められますし
その前には良質な食事も求められます。

インタビューでよく目にする
「ケガに注意する」という言葉。

ここから、本当に「ケガに注意する」ために必要なことを
いくつか取り上げました。

当たり前に実施していることから
ストレッチがケガの予防に効果がないなど、驚きの事実まであったと思います。

いずれも研究でわかっていることですから
これをベースに、より自分に見合った方法を探して
「ケガに注意して」運動を実施していきたいですね。