
2018.05.18

こんにちは。ウィンゲートトレーニングセンターの専属トレーナー岡田英之です。
私はトレーナーであり鍼灸師ですが、「スポーツファーマシスト」(肩書にも記載させて頂いております)という資格を持つ薬剤師でもあります。
先日の「ランナー膝(腸脛靭帯炎)の原因と治療」の記事の中にも「スポーツファーマシスト」という言葉が出てきましたが、一体何ができる薬剤師なのかご存知でしょうか?
選手の皆様はもちろんのこと、トレーナーや指導者、選手のご家族などスポーツに関わる全ての方々には是非その存在を知って頂きたいと思います。
今回は「スポーツファーマシスト」という薬剤師がどんな活動をしているのか、そして「スポーツファーマシスト」をどの様に活用すれば良いのかについて紹介します。

風邪をひいたり、お腹の調子を崩したり、怪我をして体を痛めたりした時に薬を使った経験のある方は多いでしょう。
当然スポーツ選手にもその様な事態が訪れる可能性があるため、今や「薬」は欠かせないものです。
家にある薬を使う時や、保険調剤薬局で薬をもらう時には必ず飲み方や効果以外にも副作用などの注意について確認をしますが、スポーツ選手が薬を使う場合には一般の方が注意することに加えて考えなければならないことがあります。
オリンピックになると必ずと言ってよい程、毎回「ドーピング検査陽性」の報道がされます。記憶に新しい平昌オリンピックでは、日本人選手の陽性事例が出たり、ロシアが国家ぐるみのドーピングにより国としての参加が認められなかったりと、競技を楽しむこと以外の面でも話題となりました。
テレビやニュースで話題になるためあまり身近には感じないドーピングですが、違反となった原因が普通にドラッグストアで売っている風邪薬だったという事例があります。
一般の方が普通に買って使っている薬の中には、実はスポーツ選手が服用してはいけない薬ということがあるのです。
正式には「公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構認定 公認スポーツファーマシスト」と呼ばれます。
公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(通称:JADA)は、その名の通り日本におけるアンチ・ドーピング活動の中心を担っている組織です。
知らない方が「スポーツファーマシスト」と聞くと、よく「スポーツをしている薬剤師さん」とか「スポーツに詳しい薬剤師さん」と言われることがあります。
決して間違いではありませんが(スポーツ好きな薬剤師さんが取得されている場合は多いです)、「スポーツファーマシスト」とは主に次のような活動をする薬剤師です。
つまり、スポーツファーマシストはドーピング規則違反のリスクから選手たちを守る存在です。
日本アンチ・ドーピング機構のホームページから違反事例を見ることが出来ますが、「知らなかった」「確認を怠った」などといった形で使ってはいけない薬など(サプリメントも含む)を服用し、制裁を科されている事例が多いです。
この様な事例に遭遇する度に、そこにスポーツファーマシストがいれば防げたのに・・・と感じています。
また、ドーピング違反とならない薬でも使い方によっては競技パフォーマンスに関わる場合もあります。その様な時に適切なアドバイスをすることも、スポーツファーマシストの大切な役割です。
公認スポーツファーマシストの制度としては2009年より始まり、現在全国に8,711名の認定者がいます。
平成28年12月31日現在、登録されている薬剤師数は約30万人のため(厚生労働省発表資料)、公認スポーツファーマシストの資格を有する薬剤師は全体の約3%程度です。

私自身、スポーツファーマシストとしては今まで様々な活動をしてきました。
など、主なものは相談対応や教育啓発です。
特に相談対応については近年件数が増えており、選手ご本人からもですが、トレーナーやご両親の方からのお話も頂くようになりました。特にご家族からの問い合わせが増えていることは、アンチ・ドーピングの意識がジュニア世代にまで浸透してきていることが見受けられます。
「ドーピング」については、検査対象となる選手は競技レベルによってある程度限られてきますので、なかなか身近に感じられないでしょう。ただ、現時点ではトップレベルにいなくとも、環境や努力次第で芽が出てくる可能性のある選手はたくさんいます。従って、早い段階でドーピングのルールについて知っておくこと、困った時の相談場所を知っておくことは大切です。
また、上述したようにドーピングとは関係ない薬でも、使用方法によってはパフォーマンスに関わることがあります。競技レベルや年齢に関わらず、そんな時に心強い味方なのがスポーツファーマシストなのです。
では、薬剤師の中で約3%しかいないスポーツファーマシストってどこにいるの?ということですが、下記のサイトで情報公開をしている身近なスポーツファーマシストの名前と連絡先が検索できます。
「ドーピング」には関係ないという方でも、スポーツをしている方は是非スポーツファーマシストに薬のことを相談してみてください。
スポーツファーマシスト検索サイト http://www3.playtruejapan.org/sports-pharmacist/search.php
今回はスポーツファーマシストについて書かせて頂きましたが、薬以外でもドーピング規則違反のリスクはあります。
ドーピングの詳しいルールや薬の使い方などについては別の機会にご紹介させて頂きます!
スポーツと薬~スポーツファーマシストの存在~

スポーツと薬~スポーツファーマシストの存在~
こんにちは。ウィンゲートトレーニングセンターの専属トレーナー岡田英之です。
私はトレーナーであり鍼灸師ですが、「スポーツファーマシスト」(肩書にも記載させて頂いております)という資格を持つ薬剤師でもあります。
先日の「ランナー膝(腸脛靭帯炎)の原因と治療」の記事の中にも「スポーツファーマシスト」という言葉が出てきましたが、一体何ができる薬剤師なのかご存知でしょうか?
選手の皆様はもちろんのこと、トレーナーや指導者、選手のご家族などスポーツに関わる全ての方々には是非その存在を知って頂きたいと思います。
今回は「スポーツファーマシスト」という薬剤師がどんな活動をしているのか、そして「スポーツファーマシスト」をどの様に活用すれば良いのかについて紹介します。
スポーツと薬

風邪をひいたり、お腹の調子を崩したり、怪我をして体を痛めたりした時に薬を使った経験のある方は多いでしょう。
当然スポーツ選手にもその様な事態が訪れる可能性があるため、今や「薬」は欠かせないものです。
家にある薬を使う時や、保険調剤薬局で薬をもらう時には必ず飲み方や効果以外にも副作用などの注意について確認をしますが、スポーツ選手が薬を使う場合には一般の方が注意することに加えて考えなければならないことがあります。
それは「ドーピング」のリスクについてです。
オリンピックになると必ずと言ってよい程、毎回「ドーピング検査陽性」の報道がされます。記憶に新しい平昌オリンピックでは、日本人選手の陽性事例が出たり、ロシアが国家ぐるみのドーピングにより国としての参加が認められなかったりと、競技を楽しむこと以外の面でも話題となりました。
テレビやニュースで話題になるためあまり身近には感じないドーピングですが、違反となった原因が普通にドラッグストアで売っている風邪薬だったという事例があります。
一般の方が普通に買って使っている薬の中には、実はスポーツ選手が服用してはいけない薬ということがあるのです。
スポーツファーマシストとは?
正式には「公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構認定 公認スポーツファーマシスト」と呼ばれます。
公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(通称:JADA)は、その名の通り日本におけるアンチ・ドーピング活動の中心を担っている組織です。
知らない方が「スポーツファーマシスト」と聞くと、よく「スポーツをしている薬剤師さん」とか「スポーツに詳しい薬剤師さん」と言われることがあります。
決して間違いではありませんが(スポーツ好きな薬剤師さんが取得されている場合は多いです)、「スポーツファーマシスト」とは主に次のような活動をする薬剤師です。
- ドーピング防止と薬物・薬剤に関する専門的な知識を有し、スポーツ現場において競技者や指導者からの薬に関する問い合わせに応じる
- 教育現場等においてドーピング防止教育を行う存在。ドーピング防止活動を通じて、競技者やスポーツ愛好家に正しい薬の使い方の指導、薬に関する健康教育を行う
つまり、スポーツファーマシストはドーピング規則違反のリスクから選手たちを守る存在です。
日本アンチ・ドーピング機構のホームページから違反事例を見ることが出来ますが、「知らなかった」「確認を怠った」などといった形で使ってはいけない薬など(サプリメントも含む)を服用し、制裁を科されている事例が多いです。
※公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構 http://www.playtruejapan.org/
この様な事例に遭遇する度に、そこにスポーツファーマシストがいれば防げたのに・・・と感じています。
また、ドーピング違反とならない薬でも使い方によっては競技パフォーマンスに関わる場合もあります。その様な時に適切なアドバイスをすることも、スポーツファーマシストの大切な役割です。
公認スポーツファーマシストの制度としては2009年より始まり、現在全国に8,711名の認定者がいます。
平成28年12月31日現在、登録されている薬剤師数は約30万人のため(厚生労働省発表資料)、公認スポーツファーマシストの資格を有する薬剤師は全体の約3%程度です。
薬のことはスポーツファーマシストに!

私自身、スポーツファーマシストとしては今まで様々な活動をしてきました。
- ドーピング違反となる薬かどうかの相談(メール・直接来局による対応)
- JADAが行っている教育啓発活動のお手伝い(競技会場のブースでの啓発活動)
- トレーナー向けのセミナー
- 大学薬学部での講義
- 鍼灸師へのセミナー
- 中学校・高校の部活動指導者に対する講習会
など、主なものは相談対応や教育啓発です。
特に相談対応については近年件数が増えており、選手ご本人からもですが、トレーナーやご両親の方からのお話も頂くようになりました。特にご家族からの問い合わせが増えていることは、アンチ・ドーピングの意識がジュニア世代にまで浸透してきていることが見受けられます。
「ドーピング」については、検査対象となる選手は競技レベルによってある程度限られてきますので、なかなか身近に感じられないでしょう。ただ、現時点ではトップレベルにいなくとも、環境や努力次第で芽が出てくる可能性のある選手はたくさんいます。従って、早い段階でドーピングのルールについて知っておくこと、困った時の相談場所を知っておくことは大切です。
また、上述したようにドーピングとは関係ない薬でも、使用方法によってはパフォーマンスに関わることがあります。競技レベルや年齢に関わらず、そんな時に心強い味方なのがスポーツファーマシストなのです。
では、薬剤師の中で約3%しかいないスポーツファーマシストってどこにいるの?ということですが、下記のサイトで情報公開をしている身近なスポーツファーマシストの名前と連絡先が検索できます。
「ドーピング」には関係ないという方でも、スポーツをしている方は是非スポーツファーマシストに薬のことを相談してみてください。
スポーツファーマシスト検索サイト http://www3.playtruejapan.org/sports-pharmacist/search.php
今回はスポーツファーマシストについて書かせて頂きましたが、薬以外でもドーピング規則違反のリスクはあります。
ドーピングの詳しいルールや薬の使い方などについては別の機会にご紹介させて頂きます!