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2018.05.25

スポーツと薬~紫外線に注意!~

スポーツと薬~紫外線に注意!〜



こんにちは。ウィンゲートトレーニングセンター、専属トレーナーの岡田英之です。前回の私の投稿では「スポーツファーマシスト」という資格を持つ薬剤師がどの様な存在であるかについてを紹介しました。

今回はスポーツと薬と紫外線の関係について、薬剤師の視点からご紹介させて頂きます。

紫外線




「紫外線」といえば、女性にとってはお肌の天敵、男性にとっては・・・日焼けといったものでしょうか。夏場の強い日差しをイメージされることが多いため、7月・8月が一番紫外線が強くなるという印象を持たれていることでしょう。

もちろん、それは正解です。データを見ても7月が最も強くなる傾向にあります。そして注目して頂きたい点は、下記の表を見ると紫外線は春先から一気に強くなり始め6月と8月はほぼ同じであるということです。



※気象庁HP 各種データ・資料より(観測地点つくばを抜粋)

また、4月は真冬の約2倍程度まで紫外線が強くなることがわかります。春スキーをして日焼けをした経験はありませんか?3月~4月は紫外線が強くなる+雪面からの反射でさらに肌への影響が強まります。また、5月辺りからテレビのCMなどで日焼け止めの商品を目にする機会が増えてきています。

夏場に強い紫外線ですが、今の時期から注意・対策が必要になってくるのです。女性の方にとって紫外線対策は今や当たり前になっているため、しっかりと季節に合わせた対策をされている方は多いことでしょう。

 

紫外線と薬


では、次に紫外線と薬との関係です。

普段何気なく飲み薬を使ったり、軟膏を塗ったり、湿布を貼ったりされている薬の中には、紫外線(日光)を浴びることで副作用が発現する可能性のある薬が存在します。代表的なものについて紹介していきます。

 

①ケトプロフェン貼付剤(商品名:モーラステープ、モーラスパップ、ミルタックスパップetc..)




ケトプロフェンという非ステロイド性の消炎鎮痛成分を含む貼り薬です。特にモーラステープは大変有名な貼り薬で、使用した経験のある方も多いのでは?効果が良く、非常によく処方がされている貼り薬です。

では、何が問題なのか?先日ネットでも騒がれてましたが、ケトプロフェン貼付剤を貼った部位に日光をあてると、発疹・発赤・かゆみ・腫れなどのかぶれが起きることがあり、またそれが全身に拡大してしまう恐れがあります。いわゆる「光接触性皮膚炎」と呼ばれる症状が出てくる可能性があります。

ケトプロフェン貼付剤を貼った後は、剥がした後少なくとも4週間は日光に当てない様にと製薬会社からも注意喚起がされています。

 

②アダパレンゲル(商品名:ディフェリンゲル、エピデュオゲル)


過酸化ベンゾイルゲル(商品名:ベピオゲル、エピデュオゲル、デュアック配合ゲル)




尋常性ざ瘡、いわゆる「ニキビ」の治療で使用される塗り薬です。アダパレンも過酸化ベンゾイルも、どちらもピーリング作用のある成分で、毛穴のつまりを改善することでニキビを改善する効果があります。

ピーリング作用があるということは、少なからず皮膚が薄くなるということ。つまり、外部からの刺激に対して弱くなっている状態になります。従って、強い紫外線を浴びると、これらの薬を使う際に表れる刺激感や乾燥などの症状がより強まってしまう可能性があります。

それぞれの薬の説明書には、使用部位に日光をあてないようにという注意喚起がされています。

 

③タクロリムス水和物軟膏(商品名:プロトピック軟膏etc..)


これはアトピー性皮膚炎の治療薬で、過剰な免疫反応を抑制することで皮膚炎の症状を改善していきます。症状のコントロールをしていく上で効果的な薬ですが、これもまた日光への曝露について注意がされている薬です。

その理由とされているのが発がん性と刺激感の増強です。発がん性については「否定が出来ない」という理由からで、今のところ発現したという例はありません。また、この薬は使い始めの時期に塗布部位に刺激感が出ますが、日光への曝露でほてりを感じやすくなったという報告があるため注意がなされてます。

実際のところは、日常生活レベルでは問題ないようです。ただ、海水浴やスキーなど長時間紫外線にさらされるような環境にいる場合は注意が必要で、帽子をかぶったり日焼け止めを使用したりという対策が望まれます。

 

 

スポーツとの関わり




さて、①~③まで薬を紹介しましたが、痛い時に使う貼り薬・ニキビの薬・アトピー性皮膚炎の薬という3種類を挙げました。

いかがでしょうか・・・・若い世代の方々がよく使っていそうな薬ではありませんか?

特に貼り薬はスポーツをしている人にとっては身近なものではないでしょうか?

上記の薬は日光との相性が悪いものです。つまり、屋外競技のアスリートとの相性も良くないのでは・・・と思いませんか?特別その薬でなければならない理由がなければ、これらの薬をあえて使う必要はありません(アトピー性皮膚炎の場合は治療上必要になってくる場合もあります)。ご自身の生活環境や競技について受診時に医師と相談し、または薬をもらう時に薬剤師へ相談し、自分に合った薬を選択してもらう様にしてみましょう。

治療のために使用している薬が原因で逆に他の症状が出始めれば、アスリートにとっては競技パフォーマンスに影響が出てくる可能性もあります。ちなみに、今回紹介した成分はドーピング違反となる禁止物質ではありません。従って、アスリートが使用する分には問題はありませんが、使用可能な薬でも、副作用など他の面を考慮すると使いにくい場合があります。

薬も適材適所です。普段の生活環境、特にアスリートであれば競技を実施する環境に応じて選択していくことも大切です。