
2018.10.12

スポーツ界にできた新たな法律

こんにちは。ウィンゲートトレーニングセンター、ボディケア事業部の岡田英之です。
この秋、スポーツ界に新たに一つの法律が施行されたことをご存知でしょうか?メディアでも記事になっていたので、チラッと目に入ったという方もいるかもしれません。
私の様に公認スポーツファーマシストという資格を持ち、アンチ・ドーピング活動をしている人間にとっては非常に大きな法律です。
「スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律」(通称ドーピング防止活動推進法)が本年10月1日より施行されました。
ドーピングって法律で決まっていたんじゃないの??と思われている方もいるでしょう。実は法律として制定されたのは、日本では初めてなのです。海外ではすでに法整備がされている国もあります。
今までご紹介してきた「禁止表国際基準」「世界アンチ・ドーピング規定(WAD CODE)」といったものはWADA(世界アンチ・ドーピング機構)が中心となって定めた国際的なルールであって、法律ではありません。
・・・ちなみに、国際的なルールである「世界アンチ・ドーピング規定(WAD CODE)」はWADAが独自に定めているわけではありません。誰が作っているのかいうと、「アスリート」「サポートスタッフ」「競技団体」「アンチ・ドーピング機関」「政府」など、スポーツに関わる全ての人の意見を元に作られています。

「スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律」は本年6月13日に成立し、10月1日より施行されました。
条文などの詳細は下記リンクのファイルをご確認ください。
「スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律」http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/196/pdf/s0901960261960.pdf
簡単に言えば、国として皆で協力し合ってドーピング防止活動を進め、スポーツを発展させていきましょうという法律です。
一部ご紹介していきます。
〇ドーピング防止活動の推進に関し、基本理念を定め、国の責務などを明らかにする
〇基本方針の策定その他の必要な事項を定めることにより、ドーピング防止活動に関する施策を総合的に推進
〇スポーツを行う者の心身の健全な発達及びスポーツの発展に寄与すること
この法律で「国の責務」が書かれたことで、国としてアンチ・ドーピング活動を推進していかなければならなくなりました。
〇国際競技大会等出場スポーツ選手は、不正の目的をもって、自己のためにスポーツにおけるドーピングを行ってはならない。
〇他の国際競技大会等スポーツ選手のためにスポーツにおけるドーピングを行い、若しくは助けてはならない。
要するに、ドーピングをしたり他の選手にドーピングをさせたり、それを助けちゃいけないということです。
これは「世界アンチ・ドーピング規定」のルールにもある「禁止物質・禁止方法の使用または企て」「禁止物質・禁止方法の投与または企て」にあたると思われます。
ちなみに「国際競技大会等」とは、
◇オリンピック競技大会、パラリンピック競技大会その他の国際的な規模のスポーツの競技会
◇全国的な規模のスポーツの競技会
のことであると書かれています。つまり、ここで出てくるスポーツ選手とはトップレベルにいる選手のことを指します。
また、選手に関わる人たちへの条文もあります。
(※国際競技大会等出場スポーツ選手=「選手」として記載します)
(※「選手」に対して指導又は訓練を行う者、「選手」が属するチームの業務に従事する者、「選手」に対して医療を提供する医師その他の選手の支援を行う者=「選手に関わる者」として記載します)
〇「選手に関わる者」は、不正の目的をもって、「選手」のためにスポーツにおけるドーピングを行い、又は助けてはならない
「選手に関わる者」・・・つまり、サポートスタッフのことですね。監督やコーチ、トレーナー、チームドクター、マネージャーなど様々な立場の人が該当します。
その様な選手をサポートする立場の人たちに対しても規定が定められました。(世界アンチ・ドーピング規定でもルール化されています)
〇国の責務:第五条
〇日本スポーツ振興センターの役割:第六条
〇スポーツ競技運営団体の努力:第七条
〇関係者相互の連携及び協働:第八条
〇地方公共団体の努力義務:第九条
〇法制上の措置等:第十条
・・・・などなど、全部で十六条の条文が制定されています。教育啓発の推進や、医師や薬剤師などに対する情報提供や研修の機会を確保するなどの記載もあります。

法整備がされたことで、アンチ・ドーピング活動に関し様々な機関の協力が得られるのではないかとされます。
例えば海外の事例ですが、ドーピングが刑事事件となるスペインでは捜査当局がエチオピア選手を含む6選手らを逮捕。近隣国で売買するために隠し持っていた禁止物質や器具を押収するなどして、ドーピングを未然に防いだということがありました。
今のところ、日本では刑事罰とはなりませんが(世界アンチ・ドーピング規定で既に制裁措置の規定があるため)、関係各所との連携により水際で防げる場合が出てくるかもしれません。
そして、今はドーピングの通報窓口というものも存在します。「通報」というと少しマイナスイメージが付きますが、クリーンな選手を守るため、クリーンな競技を守るために必要なことだと思います。
2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、ドーピング対策も進んでいます。ドーピングがないクリーンな競技会となり、選手たちが全力で競技に臨める環境となることを願います。
この秋、スポーツ界に新たに一つの法律が施行されたことをご存知でしょうか?メディアでも記事になっていたので、チラッと目に入ったという方もいるかもしれません。
私の様に公認スポーツファーマシストという資格を持ち、アンチ・ドーピング活動をしている人間にとっては非常に大きな法律です。
「スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律」(通称ドーピング防止活動推進法)が本年10月1日より施行されました。
ドーピングって法律で決まっていたんじゃないの??と思われている方もいるでしょう。実は法律として制定されたのは、日本では初めてなのです。海外ではすでに法整備がされている国もあります。
今までご紹介してきた「禁止表国際基準」「世界アンチ・ドーピング規定(WAD CODE)」といったものはWADA(世界アンチ・ドーピング機構)が中心となって定めた国際的なルールであって、法律ではありません。
・・・ちなみに、国際的なルールである「世界アンチ・ドーピング規定(WAD CODE)」はWADAが独自に定めているわけではありません。誰が作っているのかいうと、「アスリート」「サポートスタッフ」「競技団体」「アンチ・ドーピング機関」「政府」など、スポーツに関わる全ての人の意見を元に作られています。
どんな法律??

「スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律」は本年6月13日に成立し、10月1日より施行されました。
条文などの詳細は下記リンクのファイルをご確認ください。
「スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律」http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/196/pdf/s0901960261960.pdf
簡単に言えば、国として皆で協力し合ってドーピング防止活動を進め、スポーツを発展させていきましょうという法律です。
一部ご紹介していきます。
第一条:目的
〇ドーピング防止活動の推進に関し、基本理念を定め、国の責務などを明らかにする
〇基本方針の策定その他の必要な事項を定めることにより、ドーピング防止活動に関する施策を総合的に推進
〇スポーツを行う者の心身の健全な発達及びスポーツの発展に寄与すること
この法律で「国の責務」が書かれたことで、国としてアンチ・ドーピング活動を推進していかなければならなくなりました。
第四条:スポーツにおけるドーピングの禁止
〇国際競技大会等出場スポーツ選手は、不正の目的をもって、自己のためにスポーツにおけるドーピングを行ってはならない。
〇他の国際競技大会等スポーツ選手のためにスポーツにおけるドーピングを行い、若しくは助けてはならない。
要するに、ドーピングをしたり他の選手にドーピングをさせたり、それを助けちゃいけないということです。
これは「世界アンチ・ドーピング規定」のルールにもある「禁止物質・禁止方法の使用または企て」「禁止物質・禁止方法の投与または企て」にあたると思われます。
ちなみに「国際競技大会等」とは、
◇オリンピック競技大会、パラリンピック競技大会その他の国際的な規模のスポーツの競技会
◇全国的な規模のスポーツの競技会
のことであると書かれています。つまり、ここで出てくるスポーツ選手とはトップレベルにいる選手のことを指します。
また、選手に関わる人たちへの条文もあります。
(※国際競技大会等出場スポーツ選手=「選手」として記載します)
(※「選手」に対して指導又は訓練を行う者、「選手」が属するチームの業務に従事する者、「選手」に対して医療を提供する医師その他の選手の支援を行う者=「選手に関わる者」として記載します)
〇「選手に関わる者」は、不正の目的をもって、「選手」のためにスポーツにおけるドーピングを行い、又は助けてはならない
「選手に関わる者」・・・つまり、サポートスタッフのことですね。監督やコーチ、トレーナー、チームドクター、マネージャーなど様々な立場の人が該当します。
その様な選手をサポートする立場の人たちに対しても規定が定められました。(世界アンチ・ドーピング規定でもルール化されています)
その他の条文
〇国の責務:第五条
〇日本スポーツ振興センターの役割:第六条
〇スポーツ競技運営団体の努力:第七条
〇関係者相互の連携及び協働:第八条
〇地方公共団体の努力義務:第九条
〇法制上の措置等:第十条
・・・・などなど、全部で十六条の条文が制定されています。教育啓発の推進や、医師や薬剤師などに対する情報提供や研修の機会を確保するなどの記載もあります。
法律が出来たことで・・・

法整備がされたことで、アンチ・ドーピング活動に関し様々な機関の協力が得られるのではないかとされます。
例えば海外の事例ですが、ドーピングが刑事事件となるスペインでは捜査当局がエチオピア選手を含む6選手らを逮捕。近隣国で売買するために隠し持っていた禁止物質や器具を押収するなどして、ドーピングを未然に防いだということがありました。
今のところ、日本では刑事罰とはなりませんが(世界アンチ・ドーピング規定で既に制裁措置の規定があるため)、関係各所との連携により水際で防げる場合が出てくるかもしれません。
そして、今はドーピングの通報窓口というものも存在します。「通報」というと少しマイナスイメージが付きますが、クリーンな選手を守るため、クリーンな競技を守るために必要なことだと思います。
2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、ドーピング対策も進んでいます。ドーピングがないクリーンな競技会となり、選手たちが全力で競技に臨める環境となることを願います。