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2018.07.28

ドーピングの検査はどの様に行われる?

こんにちは。ウィンゲートトレーニングセンター、ボディケア事業部の岡田です。

今まで何度かドーピングのことについて触れてきました。

アンチ・ドーピングのルールを知ろう!①

アンチ・ドーピングのルールを知ろう!②

スポーツの世界で使用が禁止されているものとは?

アスリートだって必要な薬は使える!

アンチ・ドーピングのルールについて紹介してきましたが、今回は実際に検査はどの様に行われているかや検査対象になった場合はどのように行動するべきかを紹介します。

 

 

競技会外検査と競技会検査


 

検査には2種類あり、競技会の際に行う「競技会検査」と、競技会以外の時間・場所で行う「競技会外検査」(いわゆる抜き打ち検査)があります。検査の方法はどちらも同じ手順で行われます。

ちなみに、どの競技会で検査が行われるかは非公表で(オリンピックと国民体育大会については検査があるとされています)、また競技成績に関係なく検査対象となる可能性があります。

 

検査の際は、DCO(ドーピング・コントロール・オフィサー)とシャペロンと呼ばれるスタッフが対応に当たります。

DCOはドーピング検査員のことで、検体採取の際に監視をしたり実際の検査を対応するスタッフです。シャペロンは検査対象のアスリートに検査室に行くまで付き添う役割のスタッフです。

 

 

尿検査




尿検査と血液検査がありますが、尿検査の方が多く行われています。ちなみにどちらの対象になるかはその時になるまでわかりません。両方の場合もある様です。まずは尿検査です。

検査の流れとしては以下の通りです。

①検査の通告を受ける



②本人確認の上、署名。検査室へ移動

・写真付き身分証明書の提示



③採尿カップの選定

・アスリート自身で行う。未開封であるか、破損や汚れはないかなどを確認する



④尿検体の採取

・DCO立ち合いのもと、直接身体から尿が出ているかを確認できる状態で行う



⑤検体封印作業

・サンプルキットを選び、未開封であることを確認。開封後は汚れや破損がないかを確認する。

・DCOの指示のもと、BボトルおよびAボトルに尿を注ぎ、キャップを閉める



⑥書類作成

・検査日からさかのぼり7日間に使用した薬やサプリメントをすべて申告(迷ったものは申告)

・検査全体に対するコメントがある場合には所定の書類に記入

・個人情報などを記載事項に誤りがないことを確認し、公式記録書に署名

・検査書類のコピーを受け取り



⑦終了

 

血液検査




続いて、血液検査の流れです。

①通告・待機

・10分間の安静が必要(運動していた場合は運動終了後2時間待機した後になることもある)



②書類作成・体調チェック

・問診も行われる。



③キット選び

・検査に使用する器具を自身で選択。汚れや破損などの状態もチェック。

・検体番号が全て一致することを確認し、開封。



④採血



⑤検体封印作業



⑥書類作成(尿検査時と同じ)

 

 

検査の時にしなければならないこと




尿検査でも血液検査でも、どの器具を使用するか・どのボトルを使うかなどはアスリート自身が選択し、状態を確認します。

また、やるべきことしては以下のものがあります。

①写真付き身分証明書の提示

②正当な理由がない限り速やかに検査室へ移動

③DCOの指示に従い、見える場所にいること

②の正当な理由とは、「表彰式に出る」「メディア対応」「怪我などの応急処置」といったものがあり、DCOへ事前に許可を得ることで用事を済ませることが出来ます。

しかし、「監督に呼ばれた」「飛行機の時間が迫っている」などの理由で指示に従わないと、アンチ・ドーピング規則違反に問われる可能性があります。検査の対象になった場合はDCO(またはシャペロン)指示に従い、速やかに移動することが必要です。

 

また、検査の時にできることは次のものです。

①疑問点は質問する

②成人1名(+通訳者)を同伴できる

③身体障がいや怪我で対応が困難な場合はDCOの許可のもと、同伴者の補助が可能

④正当な理由があれば用事を先に済ませることが出来る

これはアスリートの権利です。必要なこと・疑問点についてはDCOに相談しましょう。

 

 

ドーピング検査はネガティブなものではない!


 

「ドーピング検査」と聞くと、違反者のあぶり出しのようなネガティブなイメージがあるのでは?

しかし、ドーピング検査を行うということはアスリート自身が「クリーンである」ということを証明する機会なのです。それにより、正々堂々・フェアプレーの精神で競技を行っていることを示すことが出来ます。

また、アスリート自身だけではなく、その競技が「クリーンである」ことの証明にもつながります。

是非ドーピング検査は「ポジティブなもの」だという理解を頂き、ご自身またはサポートするアスリートが検査対象となった場合には適切なアドバイスをして頂ければと思います。