
2018.07.03

パーソナルトレーナーに求められる資質(後編・2)

こんにちは。板橋区にある運動総合施設ウィンゲートトレーニングセンターのアドバイザリースタッフ紀平です。
今日は、パーソナルトレーナーに求められる資質の第3編。
専門的資質についての最後の投稿です。
前回までに一般的資質と、専門的資質の前半をまとめてきました。
未読の方は、そちらからお読みいただけると繋がりが理解できます。
専門的資質の残りの3つは、こちらでした。
System based practice
Interpersonal and communications skill
Professionalism
では、早速見ていきましょう。

System based practice
システムに基づいた臨床
ここでいうシステムとは、社会システムのことです。
つまり、パーソナルトレーナーはクライアントの問題を一人で抱えてはいけないということです。
たとえば、腰痛と日常生活の改善を主訴にトレーニングを受けているクライアントに対して
腰や脚のストレッチや、体幹の安定化エクササイズだけで、なんとかしようとしていませんか?
そもそも、その腰痛は運動して改善するタイプのものでしょうか?
お医者から運動の許可が出ていることと
運動すれば改善する見込みがあることには、差異があります。
運動の許可が出ているから、運動で改善しようと考えてはいけません。
クライアントの要望は、あくまで腰痛と日常生活の改善です。
そのためにパーソナルトレーナーができることは、トレーニング以外にも
ひょっとすると腰痛治療の専門家に相談することかもしれません。
あるいはクライアントが普段使っている椅子を変えることで
トレーニングよりも短い期間で腰痛を改善できるかもしれません。
その場合には、腰痛と椅子に詳しい方に相談することが重要です。
トレーニングが最も効果的だと考えられる時に
パーソナルトレーナーは目の前のクライアントに対して
一生懸命にトレーニング指導をすれば、非常に高い効果が期待できます。
一方で、トレーニング以外が奏功するであろう時には
その専門家に相談するほうが
早く、より良く、クライアントを変化させられるでしょう。
だからこそ、一般的資質で触れた、異文化との交流が
そして次に触れる資質が重要になるのです。
Interpersonal and communications skill
対人スキルとコミュニケーションスキル
私たちパーソナルトレーナーは対人の仕事です。
先に書いたように、既にパーソナルトレーナーのAIは完成しています。
ですから、クライアントがパーソナルトレーナーに対して真に求めていることこそが、このスキルなのです。
クライアントがどのような価値観を持ってパーソナルトレーニングを受けているかは
話を聞いてみないとわかりません。
そう、まずは話を聞く能力が重要です。
たとえばクライアントは「運動は万能でどんな痛みも治してしまう」と考えている人に
「痛いのなら、いい治療家を紹介できます!」と言ったら
そのパーソナルトレーナーはクライアントから信頼されないでしょう。
それよりは「トレーニングをさらに効果的にするために、専門家によるコンディショニングも受けてみませんか?」と提案したほうがよさそうです。
実は私自身、コミュニケーションスキルにおいて大きな失敗を経験したことがあります。
腰の張りを訴える中学生アスリートを見た時のことです。
いろいろと検査をしてみると、足指筋力が片側のみ低回しており
神経の問題が疑われました。
脚のシビレや痛みは伴っていなかったものの
異常所見が出ているわけですから、精査したほうがよい状況です。
そのクライアントに対して、筋力が弱くなっている事実を認識させ
症状や異常所見が続くなら精査したほうがいいと勧めたのです。
しかし、その直後クライアントは困ってしまいます。
なぜなら、明日が引退試合だったからです。
クライアントはちょっと気になる腰の張りをどうにかしてほしいだけでした。
しかし、私はその真の要望を聞く前に
検査でわかったことと、クライアントが考えてもいない将来のことを提案してしまったのです。
しかも、センシティブになる引退試合の前日に。
クライアントの主訴だけでなく
パーソナルトレーニングを受けようと思った動機を明確にしていれば避けられた事故です。
このような貧弱なコミュニケーションスキルでは、クライアントを不幸にします。
Professionalism
プロフェッショナリズム
最後は、パーソナルトレーナーとしてのプロフェッショナリズムです。
パーソナルトレーナーが何をする人か、ということです。
個人にトレーニングを指導する人、という意味ではありません。
社会に対して何をする人か、ということです。
少子高齢社会が進んで、近年中に少子超高齢化社会になってゆきます。
その社会の中でパーソナルトレーナーが果たすべき役割は何でしょうか?
アスリートを指導することが多い私は
アスリートにトレーニングをさせることで社会にどのような貢献をしているのでしょうか。
あるいは一般の方をトレーニング指導することが多い方は
その方をトレーニングさせることで社会にどのような貢献をしているのでしょうか。
ひょっとすると、アスリートのパフォーマンス向上によって
勇気づけられる人を増やしているのかもしれません。
それによって一般の方の運動する頻度が高まるかもしれません。
あるいはひょっとすると、一般の方のフィットネスを向上させて
健康寿命を増進させて医療費を削減しているのかもしれません。
このように社会に対してどのような貢献をしているかを考えると
その職業のプロフェッショナリズムが見えてくるはずです。
さて。私たちのプロフェッショナリズムとは何でしょうか。
これまで3回にわたって
パーソナルトレーナーに求められる資質について見てきました。
どれも本当に大切な能力です。
こういった能力は、パーソナルトレーナーを続ける限り、高めていきたいものですね。
今日は、パーソナルトレーナーに求められる資質の第3編。
専門的資質についての最後の投稿です。
前回までに一般的資質と、専門的資質の前半をまとめてきました。
未読の方は、そちらからお読みいただけると繋がりが理解できます。
パーソナルトレーナーに求められる資質(後編・1)
こんにちは。東京都板橋区にある運動総合施設ウィンゲートトレーニングセンターのアドバイザリースタッフ紀平です。 ...
専門的資質の残りの3つは、こちらでした。
System based practice
Interpersonal and communications skill
Professionalism
では、早速見ていきましょう。

System based practice
システムに基づいた臨床
ここでいうシステムとは、社会システムのことです。
つまり、パーソナルトレーナーはクライアントの問題を一人で抱えてはいけないということです。
たとえば、腰痛と日常生活の改善を主訴にトレーニングを受けているクライアントに対して
腰や脚のストレッチや、体幹の安定化エクササイズだけで、なんとかしようとしていませんか?
そもそも、その腰痛は運動して改善するタイプのものでしょうか?
お医者から運動の許可が出ていることと
運動すれば改善する見込みがあることには、差異があります。
運動の許可が出ているから、運動で改善しようと考えてはいけません。
クライアントの要望は、あくまで腰痛と日常生活の改善です。
そのためにパーソナルトレーナーができることは、トレーニング以外にも
ひょっとすると腰痛治療の専門家に相談することかもしれません。
あるいはクライアントが普段使っている椅子を変えることで
トレーニングよりも短い期間で腰痛を改善できるかもしれません。
その場合には、腰痛と椅子に詳しい方に相談することが重要です。
トレーニングが最も効果的だと考えられる時に
パーソナルトレーナーは目の前のクライアントに対して
一生懸命にトレーニング指導をすれば、非常に高い効果が期待できます。
一方で、トレーニング以外が奏功するであろう時には
その専門家に相談するほうが
早く、より良く、クライアントを変化させられるでしょう。
だからこそ、一般的資質で触れた、異文化との交流が
そして次に触れる資質が重要になるのです。
Interpersonal and communications skill
対人スキルとコミュニケーションスキル
私たちパーソナルトレーナーは対人の仕事です。
先に書いたように、既にパーソナルトレーナーのAIは完成しています。
ですから、クライアントがパーソナルトレーナーに対して真に求めていることこそが、このスキルなのです。
クライアントがどのような価値観を持ってパーソナルトレーニングを受けているかは
話を聞いてみないとわかりません。
そう、まずは話を聞く能力が重要です。
たとえばクライアントは「運動は万能でどんな痛みも治してしまう」と考えている人に
「痛いのなら、いい治療家を紹介できます!」と言ったら
そのパーソナルトレーナーはクライアントから信頼されないでしょう。
それよりは「トレーニングをさらに効果的にするために、専門家によるコンディショニングも受けてみませんか?」と提案したほうがよさそうです。
実は私自身、コミュニケーションスキルにおいて大きな失敗を経験したことがあります。
腰の張りを訴える中学生アスリートを見た時のことです。
いろいろと検査をしてみると、足指筋力が片側のみ低回しており
神経の問題が疑われました。
脚のシビレや痛みは伴っていなかったものの
異常所見が出ているわけですから、精査したほうがよい状況です。
そのクライアントに対して、筋力が弱くなっている事実を認識させ
症状や異常所見が続くなら精査したほうがいいと勧めたのです。
しかし、その直後クライアントは困ってしまいます。
なぜなら、明日が引退試合だったからです。
クライアントはちょっと気になる腰の張りをどうにかしてほしいだけでした。
しかし、私はその真の要望を聞く前に
検査でわかったことと、クライアントが考えてもいない将来のことを提案してしまったのです。
しかも、センシティブになる引退試合の前日に。
クライアントの主訴だけでなく
パーソナルトレーニングを受けようと思った動機を明確にしていれば避けられた事故です。
このような貧弱なコミュニケーションスキルでは、クライアントを不幸にします。
Professionalism
プロフェッショナリズム
最後は、パーソナルトレーナーとしてのプロフェッショナリズムです。
パーソナルトレーナーが何をする人か、ということです。
個人にトレーニングを指導する人、という意味ではありません。
社会に対して何をする人か、ということです。
少子高齢社会が進んで、近年中に少子超高齢化社会になってゆきます。
その社会の中でパーソナルトレーナーが果たすべき役割は何でしょうか?
アスリートを指導することが多い私は
アスリートにトレーニングをさせることで社会にどのような貢献をしているのでしょうか。
あるいは一般の方をトレーニング指導することが多い方は
その方をトレーニングさせることで社会にどのような貢献をしているのでしょうか。
ひょっとすると、アスリートのパフォーマンス向上によって
勇気づけられる人を増やしているのかもしれません。
それによって一般の方の運動する頻度が高まるかもしれません。
あるいはひょっとすると、一般の方のフィットネスを向上させて
健康寿命を増進させて医療費を削減しているのかもしれません。
このように社会に対してどのような貢献をしているかを考えると
その職業のプロフェッショナリズムが見えてくるはずです。
さて。私たちのプロフェッショナリズムとは何でしょうか。
これまで3回にわたって
パーソナルトレーナーに求められる資質について見てきました。
どれも本当に大切な能力です。
こういった能力は、パーソナルトレーナーを続ける限り、高めていきたいものですね。