
2018.06.30

パーソナルトレーナーに求められる資質(後編・1)

こんにちは。東京都板橋区にある運動総合施設ウィンゲートトレーニングセンターのアドバイザリースタッフ紀平です。
今日は、パーソナルトレーナーに求められる資質(後編)。
いよいよ、パーソナルトレーナーに必要な専門的能力について触れます。
が、熱くなって文章が長くなり過ぎたので、「後編・1」としました。「後編・2」に続きます。
誰でもいつでもパーソナルトレーナーになれる日本。
だからこそ、専門的な能力を身に付けて、クライアントに幸せになってもらい
その感謝の対価としてお金をもらい
(つつましくも)豊かに生活したいですよね!
そのためには、パーソナルトレーナーに求められる資質を理解して
資質を伸ばしていく必要があります。
クライアントから求められているのは、知識や技術だけではありません!
また、筋肉だけでもありません!笑
前回のパーソナルトレーナーに求められる一般的能力についてお読みでない方は
ぜひ下記リンクからどうぞ。

近年は、痛みや不調へ対応するための知識も求められています。
そこで今回は医療者である医師の専門的な能力を見てみましょう。
アメリカの医学教育でACGMEが求める主要能力(コア・コンピテンシー)は
今回は私が好きだという非常に主観的な理由のみでACGMEの定義を、パーソナルトレーナーに即した形で意訳して解説します。
1.Medical knowledge
医療知識。
知識がなければ、正しい指導はできません。
これは当然にように思えますが、ここに必要なのは批判的思考です。
これは中学・高校までで獲得すべきもので
学校で学ぶべきことを定めた「学習指導要領」に掲載されています。
要は「本当かな」「なんでだろう」と考える力です。
筋肥大のためには80%RMで8回3セット、セット間レストは1.5分まで。
という知識は本当ですか?
なぜ80%RMなのですか?
なぜ8回なのですか?
なぜ3セットなのですか?
なぜセット間レストは1.5分までなのですか?
その情報はどこから得たものですか?
教科書の情報は正しいとは限りません。
偉い誰かが言った情報も正しいとは限りません。
まして、テレビや雑誌の情報も然り。
可能な限り一次ソース(ピアレビュー論文)にあたりましょう。
私たちが知っている知識は、時代とともにアップデートされます。
あるいは、これまで正しいとされてきたことが、誤りだったと訂正されることもあります。
だからこそ、自分の知識を批判的思考で捉え直し、生涯学び続ける必要があります。
2.Patient care
患者のケア。
知識があっても実践できなければ意味がありません。
要はトレーニング指導のテクニックです。
しかし、ただのテクニックではありません。
相手は生きた人ですから、教科書に書いてあるとおりの指示を出すだけではいけません。
今日は疲れているのか、良いことがあったのか、どんな良いことがあったのか。
人はそういった気分を含めて生きています。
それを汲んで、やったほうが良いトレーニング(またはトレーニングを中止することを含めて)を提示するのです。
近年、人工知能の発達でクライアントの動きを解析するシステムができています。
(私自身、先日体験してきました。これはまた別の機会にでも)
さらに、動きや体型に応じたトレーニングを処方するシステムもできています。
加えて、VR(ヴァーチャル・リアリティ)によってトレーニング指導するシステムもできています。
運動処方と指導において、もうパーソナルトレーナーが人である必要はない時代なのです。
では、パーソナルトレーナーが何をするか。
それは、心の通ったクライアント指導です。
相手の心を理解するためには、先に示した3.多様な社会グループにおける人間関係形成能力が非常に重要です。
そして、そのために必要な知識は、つまり教養は非常に多岐にわたります。
教養は一朝一夕に育てられるものではありません。
しかし、相手を理解するためには
多種多様な知識を様々なところから得る必要があります。
誤解を恐れずに言うなら、パーソナルトレーナーに必要な知識は
絵画、歴史、音楽、ファッション、文学でもあるということです。
3.Practice based learning and improvement
臨床に基づいた学習と改善。
パーソナルトレーナーの勉強は、セミナーやテキストで行うと考えている人がいるかもしれません。
それは、ある意味で危険です。
なぜなら、その人はパーソナルトレーナーの仕事をしている間に成長しないからです。
セミナーやテキストで新しい知識や技術を獲得するのは悪いことではありません。
しかし、もっと重要なのは、日々の仕事の中で課題を見つけてそこから学び改善していくことです。
日々のパーソナルトレーニングでうまくいったこと、うまくいかなかったこと
実は様々なできごとが連続して起こっています。経験しています。
そこから学ぶことが重要です。
うまくいったことを「良かった」と感じて次に改善しないのではなく
なぜうまくいったのか、どうしたらもっとうまくいくのか
そのように捉え直して考えます。
もちろん、うまくいかなかったことをクライアントのせいにしてはいけません。
「あの人はヤル気がないから挙上重量が上がらないんだ」
「実はお菓子ばかり食べてるから痩せないんだ」
「トレーニングはうまくいってるけど、生活の姿勢に問題があるから肩こりが改善しないんだ」
そういった人任せで自己中心的な考えでは、いけないのです。
どうすれば、ヤル気を出させることができるか、どうすればお菓子を止められるか、どうすれば生活の姿勢を変えられるか
それを考えて実行して、成果が現れてこそ、パーソナルトレーニングを実行したといえるでしょう。
このように日々のパーソナルトレーニングの中から課題を感じ取り
それを明確にして、解決方法を考えて、試していく姿勢は
前回のブログで紹介した「問題発見自己解決能力」そのものです。
…と前半部分を熱く語っていたら、かなりの文量になってしまいました。
ので、急遽「後編」から「後編・1」として続きは次回「後編・2」で解説します。
改めて自分でまとめてみても
このACGMEの主要能力は、本当によくまとめられていますよね。
自戒にもなります。
今日は、パーソナルトレーナーに求められる資質(後編)。
いよいよ、パーソナルトレーナーに必要な専門的能力について触れます。
が、熱くなって文章が長くなり過ぎたので、「後編・1」としました。「後編・2」に続きます。
誰でもいつでもパーソナルトレーナーになれる日本。
だからこそ、専門的な能力を身に付けて、クライアントに幸せになってもらい
その感謝の対価としてお金をもらい
(つつましくも)豊かに生活したいですよね!
そのためには、パーソナルトレーナーに求められる資質を理解して
資質を伸ばしていく必要があります。
クライアントから求められているのは、知識や技術だけではありません!
また、筋肉だけでもありません!笑
前回のパーソナルトレーナーに求められる一般的能力についてお読みでない方は
ぜひ下記リンクからどうぞ。
パーソナルトレーナーに求められる資質(前編)
こんにちは。東京都板橋区にある運動総合施設ウィンゲートトレーニングセンターのアドバイザリースタッフ紀平です。 ...

専門的な能力
たとえばパーソナルトレーナーは運動指導をする人ですが近年は、痛みや不調へ対応するための知識も求められています。
そこで今回は医療者である医師の専門的な能力を見てみましょう。
アメリカの医学教育でACGMEが求める主要能力(コア・コンピテンシー)は
- Medical knowledge
- Patient care
- Practice based learning and improvement
- System based practice
- Interpersonal and communications skill
- Professionalism
日本でも同様に文科省が定める「医学教育モデル・コア・カリキュラム」に
・プロフェッショナリズム
・医学知識と問題対応能力
・診療技術と患者ケア
・コミュニケーション能力
・チーム医療の実践
・医療の質と安全の管理
・科学的探求
・生涯にわたって共に学ぶ姿勢
と定義しています。
今回は
1.Medical knowledge
医療知識。
知識がなければ、正しい指導はできません。
これは当然にように思えますが、ここに必要なのは批判的思考です。
これは中学・高校までで獲得すべきもので
学校で学ぶべきことを定めた「学習指導要領」に掲載されています。
要は「本当かな」「なんでだろう」と考える力です。
筋肥大のためには80%RMで8回3セット、セット間レストは1.5分まで。
という知識は本当ですか?
なぜ80%RMなのですか?
なぜ8回なのですか?
なぜ3セットなのですか?
なぜセット間レストは1.5分までなのですか?
その情報はどこから得たものですか?
教科書の情報は正しいとは限りません。
偉い誰かが言った情報も正しいとは限りません。
まして、テレビや雑誌の情報も然り。
可能な限り一次ソース(ピアレビュー論文)にあたりましょう。
私たちが知っている知識は、時代とともにアップデートされます。
あるいは、これまで正しいとされてきたことが、誤りだったと訂正されることもあります。
だからこそ、自分の知識を批判的思考で捉え直し、生涯学び続ける必要があります。
2.Patient care
患者のケア。
知識があっても実践できなければ意味がありません。
要はトレーニング指導のテクニックです。
しかし、ただのテクニックではありません。
相手は生きた人ですから、教科書に書いてあるとおりの指示を出すだけではいけません。
今日は疲れているのか、良いことがあったのか、どんな良いことがあったのか。
人はそういった気分を含めて生きています。
それを汲んで、やったほうが良いトレーニング(またはトレーニングを中止することを含めて)を提示するのです。
近年、人工知能の発達でクライアントの動きを解析するシステムができています。
(私自身、先日体験してきました。これはまた別の機会にでも)
さらに、動きや体型に応じたトレーニングを処方するシステムもできています。
加えて、VR(ヴァーチャル・リアリティ)によってトレーニング指導するシステムもできています。
運動処方と指導において、もうパーソナルトレーナーが人である必要はない時代なのです。
では、パーソナルトレーナーが何をするか。
それは、心の通ったクライアント指導です。
相手の心を理解するためには、先に示した3.多様な社会グループにおける人間関係形成能力が非常に重要です。
そして、そのために必要な知識は、つまり教養は非常に多岐にわたります。
教養は一朝一夕に育てられるものではありません。
しかし、相手を理解するためには
多種多様な知識を様々なところから得る必要があります。
誤解を恐れずに言うなら、パーソナルトレーナーに必要な知識は
絵画、歴史、音楽、ファッション、文学でもあるということです。
3.Practice based learning and improvement
臨床に基づいた学習と改善。
パーソナルトレーナーの勉強は、セミナーやテキストで行うと考えている人がいるかもしれません。
それは、ある意味で危険です。
なぜなら、その人はパーソナルトレーナーの仕事をしている間に成長しないからです。
セミナーやテキストで新しい知識や技術を獲得するのは悪いことではありません。
しかし、もっと重要なのは、日々の仕事の中で課題を見つけてそこから学び改善していくことです。
日々のパーソナルトレーニングでうまくいったこと、うまくいかなかったこと
実は様々なできごとが連続して起こっています。経験しています。
そこから学ぶことが重要です。
うまくいったことを「良かった」と感じて次に改善しないのではなく
なぜうまくいったのか、どうしたらもっとうまくいくのか
そのように捉え直して考えます。
もちろん、うまくいかなかったことをクライアントのせいにしてはいけません。
「あの人はヤル気がないから挙上重量が上がらないんだ」
「実はお菓子ばかり食べてるから痩せないんだ」
「トレーニングはうまくいってるけど、生活の姿勢に問題があるから肩こりが改善しないんだ」
そういった人任せで自己中心的な考えでは、いけないのです。
どうすれば、ヤル気を出させることができるか、どうすればお菓子を止められるか、どうすれば生活の姿勢を変えられるか
それを考えて実行して、成果が現れてこそ、パーソナルトレーニングを実行したといえるでしょう。
このように日々のパーソナルトレーニングの中から課題を感じ取り
それを明確にして、解決方法を考えて、試していく姿勢は
前回のブログで紹介した「問題発見自己解決能力」そのものです。
…と前半部分を熱く語っていたら、かなりの文量になってしまいました。
ので、急遽「後編」から「後編・1」として続きは次回「後編・2」で解説します。
改めて自分でまとめてみても
このACGMEの主要能力は、本当によくまとめられていますよね。
自戒にもなります。