
2018.05.10

こんにちは。
東京都板橋区ウィンゲートトレーニングセンターのランニング事業部、齋藤大輔(さいとう だいすけ)です。
ランニング事業部からは、ランニングパフォーマンス向上のための情報を毎回お届けしていきます!
ランニングブログの第一回目は、当施設で実施できる「低酸素トレーニング」についてご紹介します。

酸素の少ない状態を人工的に作り出した(高地環境の)部屋を「低酸素ルーム」と呼び、この環境を用いたトレーニングを「低酸素トレーニング」と呼びます。

筋肉の毛細血管が発達するため、より少ない酸素を、よりうまく使おうとする変化が起きます。
追い込まれた状態で運動して、「これ以上酸素が吸えない」状態になったとき、筋肉の中で酸素がより効率的に利用できる能力が改善されるので、持久力(有酸素性能力)のアップが期待できます。
長期間の低酸素トレーニングは酸素を供給する能力を高めますが、短期間のトレーニングでは酸素を利用する能力が変わります。
すなわち、筋肉が少ない酸素でエネルギーを生み出せるようになるということです。
乳酸は蓄積しすぎると筋肉の収縮速度やパワーに影響を与え、パフォーマンスを低下させてしまう要因です。
低酸素トレーニングにより、体内の乳酸を運ぶタンパク質が活発になり、血中乳酸濃度が低下することが確認されています。
つまり、疲労に対する耐久性がアップするということです。
また、低酸素トレーニングを継続して行うことで、ランニングで使われる筋肉へのエネルギー供給源が糖主体ではなく脂質主体となります。これこそが、長く走っても脚が持つ現象の理由で、レース終盤のエネルギー切れの防止が期待できます。


SPO2(動脈血酸素飽和度)とは、心臓から全身に運ばれる血液に含まれる酸素(O2)の飽和度を示しています。
血液中の酸素の大半(健康なら99%近く)は赤血球の中にあるヘモグロビンによって運ばれます。飽和とは最大限の状態を指しますので、酸素飽和度とはヘモグロビンが運べる最高の状況に対し、実際にどの程度まで酸素を運べているかを意味しています。
低酸素トレーニング時には、SPO2を測定しながら、運動強度を調節していきます。
90%以上の場合 → 運動強度を上げる
80~90%の場合 → 運動強度を維持する
80%以下の場合 → 運動強度を下げる
SPO2が高くても実際にはきつい場合などもあるので、臨機応変に判断しましょう。
※高地環境でない場合は、正常値は96 %以上、95 %未満は呼吸不全の疑いがあり、90 %未満は在宅酸素療法の適用となります。

低酸素トレーニングがオススメなのは
です。
・記録向上を狙うランナー
・ビギナーのランナー
一見すると相反するようなオススメですが、両者に共通するのは、短い距離・短い時間で大きなトレーニング効果を求めるということ。
つまり、ケガを回避してトレーニングの効果を高めるということです。
オススメの使用例は、以下のとおりです。
例1:試合前のピーキング
出場レースの直前の2~4週間前から、週に2~3回、1回30分程度で行う
例2:基礎体力向上
数ヶ月あるいは年間を通して、週に1~2回の低頻度で継続して行う
例3:高地事前馴化トレーニング
出場レースの直前に1週間程度なるべく高頻度で行う

ウィンゲートトレーニングセンターの低酸素ルームは室内酸素濃度を標高3000m程に設定しております。
標高3000mというのは富士山でいう8合目くらいの高さです。
日本で行う高地トレーニングは標高2000m前後で、アメリカのボルダーが標高1650〜1800m、スイスのサンモリッツが標高1800m、スペインのグラナダが標高2300mです。
外国では標高2400m以上で低酸素トレーニングを実施することがメジャーになってきていて、これまでより確実に標高が上がっています。
しかし、日本国内で標高2400m以上でトレーニングする場所は富士山くらいしかなく、低酸素ルームをうまく使うことが非常に重要です。
高地に行くと、脱水に特別な注意を払う、順化に日数をかける順化局面を必ず守る、万全な体調で臨む、リカバリー局面に対する測定の強化など、注意しなければならない点がいくつかあります。
また、高地に行って体調が悪くなれば、下りなければならず、かなり慎重に行う必要があります。
しかし、低酸素ルームでは体調が悪くなれば室外に出ればよく、低酸素ルームでの注意点が少ないのは理想的です。
低酸素ルームを利用した低酸素トレーニングは日常生活環境の中で気軽に実施できることがメリットです!
ランナーの皆さん、自身のパフォーマンスアップのために低酸素トレーニングを取り入れてみませんか?

ウィンゲートラン ホームページ
http://www.wingate.club/run.html
ランナーのための低酸素トレーニング

ランナーのための低酸素トレーニング
こんにちは。
東京都板橋区ウィンゲートトレーニングセンターのランニング事業部、齋藤大輔(さいとう だいすけ)です。
ランニング事業部からは、ランニングパフォーマンス向上のための情報を毎回お届けしていきます!
ランニングブログの第一回目は、当施設で実施できる「低酸素トレーニング」についてご紹介します。
低酸素トレーニングとは?

酸素の少ない状態を人工的に作り出した(高地環境の)部屋を「低酸素ルーム」と呼び、この環境を用いたトレーニングを「低酸素トレーニング」と呼びます。
低酸素トレーニングの効果とは?

低酸素トレーニングを行うことで体力が向上することは知られていますが、具体的には、最大酸素摂取量の増加、筋肉内での酸素利用の効率化、乳酸蓄積の抑制などによってレース終盤のエネルギー切れの防止が期待されています。
最大酸素摂取量の増加
最大酸素摂取量とは1分間に体重1kgあたり取り込むことができる酸素の量のことを表し、最大酸素摂取量が増加することで、基礎的な体力の向上が期待できます。
トレーニングを行うことで、赤血球やヘモグロビン及び血流量を増やすことができます。
その増えた赤血球やヘモグロビンに酸素がくっ付くため、より多くの酸素を運搬できるようになり、持久的な能力(有酸素性能力)が向上します。
マラソン、競歩、自転車やトライアスロンなど持久的な競技ではパフォーマンスの向上を見込むことができます。
筋肉内での酸素利用の効率化
筋肉の毛細血管が発達するため、より少ない酸素を、よりうまく使おうとする変化が起きます。
追い込まれた状態で運動して、「これ以上酸素が吸えない」状態になったとき、筋肉の中で酸素がより効率的に利用できる能力が改善されるので、持久力(有酸素性能力)のアップが期待できます。
長期間の低酸素トレーニングは酸素を供給する能力を高めますが、短期間のトレーニングでは酸素を利用する能力が変わります。
すなわち、筋肉が少ない酸素でエネルギーを生み出せるようになるということです。
乳酸の蓄積の抑制
乳酸は蓄積しすぎると筋肉の収縮速度やパワーに影響を与え、パフォーマンスを低下させてしまう要因です。
低酸素トレーニングにより、体内の乳酸を運ぶタンパク質が活発になり、血中乳酸濃度が低下することが確認されています。
つまり、疲労に対する耐久性がアップするということです。
また、低酸素トレーニングを継続して行うことで、ランニングで使われる筋肉へのエネルギー供給源が糖主体ではなく脂質主体となります。これこそが、長く走っても脚が持つ現象の理由で、レース終盤のエネルギー切れの防止が期待できます。
低酸素ルーム利用時の注意点

- 気分が悪くなったらすぐに部屋から外に出てください。
- 小まめに水分補給をしましょう。
- 下記の方はご利用をお控えいただきます。
・基礎疾患(心不全、肺高血圧、肺、心臓等の既往歴、治療歴)のある方
・風邪をひいている方(微熱、頭痛、のどの痛み、咳、鼻水がある)
・安静時酸素飽和度が95%以下の方
・酔っ払っている方
・妊娠している方
・中学生未満
普段よりも汗をかきやすかったり、喉の渇きを感じることが多いので、小まめな水分補給を心がけてください!
SPO2を指標にしよう

SPO2(動脈血酸素飽和度)とは、心臓から全身に運ばれる血液に含まれる酸素(O2)の飽和度を示しています。
血液中の酸素の大半(健康なら99%近く)は赤血球の中にあるヘモグロビンによって運ばれます。飽和とは最大限の状態を指しますので、酸素飽和度とはヘモグロビンが運べる最高の状況に対し、実際にどの程度まで酸素を運べているかを意味しています。
低酸素トレーニング時には、SPO2を測定しながら、運動強度を調節していきます。
90%以上の場合 → 運動強度を上げる
80~90%の場合 → 運動強度を維持する
80%以下の場合 → 運動強度を下げる
SPO2が高くても実際にはきつい場合などもあるので、臨機応変に判断しましょう。
運動強度が上がってもSPO2が下がらない、または維持できているということは心肺機能向上の一つの目安となります。よって、まずは80~90%を目標としましょう!
※高地環境でない場合は、正常値は96 %以上、95 %未満は呼吸不全の疑いがあり、90 %未満は在宅酸素療法の適用となります。
どのタイミングで取り入れたらいいの?

低酸素トレーニングがオススメなのは
・記録向上を狙うランナー
・ビギナーのランナー
です。
・記録向上を狙うランナー
記録向上を狙うためには、最大酸素摂取量のさらなる増加と、スピードトレーニングが必要です。
最大酸素摂取量の増加のために、低酸素トレーニングを利用しましょう。
比較的短い時間で効率的に最大酸素摂取量の増加が期待できます。
・ビギナーのランナー
ビギナーのランナーは、走るのに十分な体力(持久力、脚筋力)を備えてない可能性があります。
そのため、長い時間のランニングで最大酸素摂取量を増加させようとすると、ケガをしかねません。
ですから、比較的短時間で効率的に最大酸素摂取量の増加が期待できる低酸素トレーニングの実施が勧められます。
一見すると相反するようなオススメですが、両者に共通するのは、短い距離・短い時間で大きなトレーニング効果を求めるということ。
つまり、ケガを回避してトレーニングの効果を高めるということです。
オススメの使用例は、以下のとおりです。
例1:試合前のピーキング
出場レースの直前の2~4週間前から、週に2~3回、1回30分程度で行う
例2:基礎体力向上
数ヶ月あるいは年間を通して、週に1~2回の低頻度で継続して行う
例3:高地事前馴化トレーニング
出場レースの直前に1週間程度なるべく高頻度で行う
富士登山競走で優勝した駅伝実業団選手に、低酸素トレーニングをご利用いただきました。https://blog.goo.ne.jp/sekaiichi_2009/e/b2ad8bc6c5d571577ffd1aab9acb283c
いざ、標高3000mの世界へ!

ウィンゲートトレーニングセンターの低酸素ルームは室内酸素濃度を標高3000m程に設定しております。
標高3000mというのは富士山でいう8合目くらいの高さです。
日本で行う高地トレーニングは標高2000m前後で、アメリカのボルダーが標高1650〜1800m、スイスのサンモリッツが標高1800m、スペインのグラナダが標高2300mです。
外国では標高2400m以上で低酸素トレーニングを実施することがメジャーになってきていて、これまでより確実に標高が上がっています。
しかし、日本国内で標高2400m以上でトレーニングする場所は富士山くらいしかなく、低酸素ルームをうまく使うことが非常に重要です。
高地に行くと、脱水に特別な注意を払う、順化に日数をかける順化局面を必ず守る、万全な体調で臨む、リカバリー局面に対する測定の強化など、注意しなければならない点がいくつかあります。
また、高地に行って体調が悪くなれば、下りなければならず、かなり慎重に行う必要があります。
しかし、低酸素ルームでは体調が悪くなれば室外に出ればよく、低酸素ルームでの注意点が少ないのは理想的です。
低酸素ルームを利用した低酸素トレーニングは日常生活環境の中で気軽に実施できることがメリットです!
ランナーの皆さん、自身のパフォーマンスアップのために低酸素トレーニングを取り入れてみませんか?

ウィンゲートラン ホームページ
http://www.wingate.club/run.html