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2018.05.15

ランナー膝(腸脛靭帯炎)の原因と治療

ランナー膝(腸脛靭帯炎)の原因と治療


こんにちは。ウィンゲートトレーニングセンターの紀平です。

今日は多くのランナーの膝の痛みの原因である腸脛靭帯炎の原因と治療について説明します。

腸脛靭帯炎とは?




太ももの外側にある腸脛靭帯という幅4-5cmの膜状の組織が膝の外側にある大腿骨外側上顆に擦れて発生する、膝外側の痛みです。

腸脛靭帯とは、骨盤の腸骨とスネの脛骨を結ぶ膜状の組織です。腸脛靭帯という独立した存在があるというよりは、大腿筋周膜の一部が肥厚したものと捉えたほうがよさそうです。腸脛靭帯は腸骨に直接は付着せず、大腿筋膜張筋と大殿筋を介して付着します。


オーバーユースによるケガであり、基本的には、使い過ぎが原因で発生します。

腸脛靭帯炎の本当の原因


腸脛靭帯炎は、オーバーユースによるケガです。
が、それは一般論です。

本当に使い過ぎが原因だとしたら、右も左も両方とも同時に痛みが発生しないといけません。
しかし、あなたの膝は右か左か、どちらか片方だけ外側が痛いはずです。

そう。
痛みの本当の原因は、マルアライメントとマルユースです。
マルアライメントとはおかしな骨格のことで、マルユースとは誤った使い方のことです。
何それ?と思われた方は「怪我をしないためのランニングフォームの作り方」を読んでください。
私たちウィンゲートのトレーナーは、マルアライメント(止まった状態での姿勢の異常)とマルユース(動いた状態での姿勢の異常)を合わせて、姿勢異常と捉えています。

私たちが姿勢にこだわって、パーソナルトレーニングを実施するのは、そのためです。

怪我をしないためのランニングフォームの作り方


腸脛靭帯炎に多いマルアライメント




腸脛靭帯炎の方に多いマルアライメントは2つ。

・O脚
・扁平足


です。

O脚とは、左右の足をくっつけて立った状態で、左右の膝の間に隙間ができることです。

このような姿勢の人は、足の外側に体重が乗りやすく、太ももの外側が張りやすい傾向にあります。

扁平足は、多くの人が自分で確認できるでしょう。
専門的な診方もあるのですが、それはまた別の機会に紹介します。

腸脛靭帯炎に多いマルユース


腸脛靭帯炎に多いマルユースは1つだけ。

・ニーイン


です。

ニーインを英語で書くと、Knee In つまり、膝が内側に入った状態です。

とくにランニングの着地の瞬間、あるいは着地から蹴り出すまでに、膝が内側に入ることが多くあります。

ここまでキチンと読んだ方には、疑問が生じるはずです。
そうなんです。実は、O脚とニーインが、真逆の姿勢なのです。

それでも、やはりマルユースは、ニーインです。
では、ニーインの原因は何かというと、それは2つ。

・扁平足

・股関節(中殿筋)の弱さ

です。

扁平足になると、着地の瞬間や着地の次の瞬間に体重が内側に入ります。
その結果、膝が内側に傾きます。
土踏まずは、骨だけではなく筋肉でも形成されているので、疲れてくれば、より扁平足が助長されるでしょう。

また股関節(中殿筋)が弱いと、着地の瞬間や着地の次の瞬間に、片脚で身体を支えることができません。
その結果、膝が内側に傾きます。

O脚の選手は、体重を足の外側で支えます。
このような姿勢は中殿筋の疲労を助長します。
そのため、ランニング後半になると、足の外側で支えきれなくなって体重が内側に入り、膝が内側に傾くことが考えられます。
これは、腸脛靭帯炎がランニング後半やレース後半で発生することが多い事実と一致します。

腸脛靭帯炎のメカニズム


O脚の選手も扁平足の選手も股関節(中殿筋)が弱い選手も、結果的には膝が内側に傾きます。
その結果、中殿筋は過度な働きが求められ、周りの筋肉がそれを補おうとします。
その周りの筋肉こそが、腸脛靭帯に付着する大腿筋膜張筋と大殿筋です。

事実、研究で腸脛靭帯炎の選手は中殿筋の筋力が低下していることが確かめられています。

このようにして中殿筋の弱さによって大腿筋膜張筋と大殿筋に過度な働きがもとめられると
腸脛靭帯は上方に引っ張られてテンションを増します。
その状態で膝の曲げ伸ばし、つまりランニング動作を続けると、腸脛靭帯炎が発生します。

腸脛靭帯炎の治し方


・結果へのアプローチ


まず、膝の外側に発生している痛みに対応する必要があります。


基本的にはオーバーユースのケガですから、練習量を調整します。

さらに炎症が起きているので、整形外科を受診して、湿布や飲み薬の痛み止め薬を使うと良いでしょう。
痛み止め薬は、正式には「抗炎症性鎮痛薬」といいます。
痛みの原因となっている炎症に抗うことで痛みを抑えるため、ただの気休めではなく、キチンとした治療薬なのです。

※服薬の際はドーピングに注意してください。服用前にスポーツファーマシストなどの専門家に相談することをお勧めします。

また、ウィンゲートでも実施している鍼灸治療は、痛みを抑える効果が強く期待されています。
大規模な研究で、抗炎症性鎮痛薬と同等の効果が認められていますから
痛み止め薬を飲みたくない方などには、補完する目的で有効でしょう。

いずれの方法も、原因とは別の結果に対してのアプローチ方法です。

ですから、これらの方法を行うだけでは、原因が排除されていないので、再び痛みが出ることがほとんどです。

痛みをなくしたいなら、原因にもアプローチする必要があります。

・原因へのアプローチ


次に、原因となる扁平足、股関節(中殿筋)の弱さ、O脚への対応が必要です。

▽扁平足は、シューズとインソールを見直します。

それが直接的な改善方法です。
費用はかかりますが、効果に即効性があります。
扁平足を修整するエクササイズも存在しますが、修整までに時間がかかります。
シューズとインソールを見直し、同時にエクササイズを実施するのがお勧めです。

▽股関節(中殿筋)の弱さは、トレーニングで対応します。

中殿筋は脚を横に広げる(脚を開く)筋肉です。
横向きに寝て、脚を広げるトレーニングで強化します。



ただし、この筋力が弱いことにも原因があります。
それは、この筋肉自体が弱くなっているのか、それとも体幹が働かないことで力が出せないのか。
そのためには、専門家に姿勢をチェックしてもらう必要があります。

これまで多くのランナーを見てきた経験からいうと
多くの方が体幹が使えていないことで中殿筋が弱くなっている傾向があると感じます。
ですから、ただ中殿筋の強化をしても、なかなか治りません。
体幹を効かせつつ、中殿筋の強化を図る必要があります。



▽O脚への対応

実は、上記2つを実施するだけで、O脚が大幅に改善することを何度も経験しています。

やっぱり膝は痛みの被害者で、扁平足や中殿筋が姿勢の容疑者だったのでしょうか。

ただ、中には中殿筋と逆の働きをする内転筋が弱くなっているランナーもいます。
そのようなランナーには、中殿筋と内転筋を同時に強化するエクササイズを実施してもらいます。
このエクササイズを実施したランナーは
「真下で着地する感覚がわかるようになった」
「着地で脚が流れない」など
ランニングの感覚の変化を実感することが多いと感じます。

▽その他

いろいろな部位が疲れたり弱かったりで発生する腸脛靭帯炎ですが
再度、原則に立ち戻りましょう。

腸脛靭帯炎の基本は、オーバーユース、使い過ぎ、オーバートレーニングです。

ですから、練習による身体の疲れを除去するのもポイントです。

ウィンゲートトレーニングセンターには
流行りに流されてランニングを実施するトレーナーが多く在籍しています。

プロ選手や日本代表選手もコンディショニングとして使用している
ラジオ波があります。
ラジオ波を使って脚の筋肉を回復させれば
事前に腸脛靭帯炎を予防できるかもしれませんし
疲労感少なく、より充実したランニング練習が実施できます。



私たちは治療も実施しますが、それよりも痛みが出ないこと(予防)に重きを置いています。
ぜひ、コンディショニングとして、ご活用ください。

また、腸脛靭帯炎はオーバーユースによるケガですから、実は練習内容の見直しも重要なポイントです。
ランニングに詳しいスタッフが在籍するウィンゲートトレーニングセンターは
きっとあなたのランニングライフのパートナーになり得るでしょう。

まずはご体験(初回のみ2,160円/60分)から、どうぞ。
http://www.wingate-tc.com/plan/