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2018.08.24

咳を和らげる意外な方法

こんにちは。ウィンゲートトレーニングセンターの専属トレーナー岡田英之です。

先日、薬局で患者さんの対応をしている中で咳をしている方が多くいらっしゃいました。そこでふと思い出したことがあります。

咳を抑えるには「咳止めの薬」ですが、意外なものに効果があるという報告を見たことがあります。

(※原因により治療方法は様々です。鼻炎が原因で鼻の奥に鼻水が溜まり、それが喉に落ちて痰となり、痰を出そうとして咳が出る場合や、アレルギーによるもの、気管支喘息によるもの、気道感染によるものなど、それぞれ咳を抑える治療は異なります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・それは、「ハチミツ」です。

 

 

 

 

 

そう、くまのプーさんが大好きなあの「ハチミツ」が辛い咳を和らげてくれるかもしれないのです。

 

 

 

ハチミツの咳に対する効果とは?




世界ではいくつかの研究が発表されています。

 

2012年に発表された研究では、子供に対し寝る前にスプーン半分~2杯のハチミツを与えると、夜間の咳と本人・親の睡眠状態を改善したそうです。

2013年にイランで実施された研究もあります。3週間以上続く感染後の咳に対してハチミツコーヒー(お湯200ml+ハチミツ20.8g+インスタントコーヒー2.9g)を8時間ごとに1週間飲む群と、ステロイド群(お湯200ml+プレドニゾロン13.3mg)、コントロール群(お湯+咳止め薬グアイフェネシン25g)を使ってどうなるかを調べた研究です。その結果、ハチミツコーヒー群とステロイド群では有意に咳の頻度が減り、ハチミツコーヒー群のほうが変化の度合いが高く、咳のスコアがゼロになったそうです。

(※ただし、コーヒーに含有されるカフェインの作用も働いていると考えられますが・・・)

 

また、2014年に発表されたイタリアの研究によると、子供の咳にハチミツ10ml+ミルク90mlを混ぜたものを飲ませたところ、咳止めの薬(市販のもの)を使った場合と比較して同程度咳を抑えることが出来たという報告がありました(プラセボ効果も含まれている可能性はありますが)。

 

2018年には小児の急性咳嗽に対する有効性を評価するためのシステマティックレビューが実施され、Cochrane Database of Systematic Reviewsに公開されています。本レビューの結果だと、ハチミツは無治療・ジフェンヒドラミン・プラセボと比較して、咳症状を多くの面で軽くし、デキストロメトルファンとはほとんど差がない可能性が示唆されました。

「デキストロメトルファン」は商品名「メジコン」として広く使用されている咳止めです。その咳止めと差がないという報告には驚きです。

 

この様に、咳に対してはハチミツを利用するのも手かもしれませんね。
ちなみに日本薬局方にも「ハチミツ」は収載されているため、病院で処方してもらうこともできます。興味があればお医者さんに相談するのも良いのでは?

(※効能効果は「矯味の目的で、又は丸剤の結合剤、栄養剤として調剤に用いる。また、皮膚保護剤・粘膜保護剤として用いる」とされているので、咳止めを目的として承認されているわけではありませんが・・・・・。)

 

 

 

1歳未満のお子様には与えないこと!!!


 



 

1歳未満のお子様にハチミツを使うことはできません!以前ニュースにもなりましたが、ハチミツからのボツリヌス菌の感染によりお子様が亡くなられたという大変痛ましい出来事がありました。

ハチミツの中にはボツリヌス菌が芽胞という状態で入っている場合があります。大人はボツリヌス菌が体に入っても腸内細菌のおかげで問題になることはありませんが、腸内環境が未発達な1歳未満の乳児の体内ではボツリヌス菌が増えてしまうのです。しかも、この芽胞という状態は熱にも非常に強いのです。ボツリヌス中毒は命に関わることもあります。与える時は十分に気を付けるようにしましょう。

 

 

むやみやたらに咳を止めないこと


 



 

最近では、咳は無理やり止めない方が良いと言われるようになってきています。「咳」とは気道に入った異物を外に出そうする反応です。そのため、例えば高齢者の方が痰を出すのに咳をしているのにそれを止めてしまうと、痰が気道に落ちてしまい肺炎(誤嚥性肺炎)になってしまうことがあります。

子供においても、咳止めをむやみに使うのは良くないとされてきています。特に喘息発作の場合だと、薬で咳を止めてしまうと痰を出せなくなり、溜まってしまった痰が気管支の内側をさらに狭くして、逆に苦しくなってしまいます。こんなときは、咳止めではなく痰を取り除く薬(去痰薬)や気管支を広げてあげる薬(気管支拡張薬)を使います。この様に、止めてはいけない咳もあるため咳止めを使う場合はちゃんとお医者さんの指示に従うようにしましょう。

 

・・・ただ、「咳」というものは大変しんどく苦しいもので、1回の咳で2キロカロリーも消費すると言われているくらいです。咳のし過ぎで肋骨を痛めてしまう方もいらっしゃいます。お子様だと激しい咳込みにより嘔吐してしまう子もいるでしょう。

必要に応じて咳止めを使ってあげることは大切です。例えば、もし手元に薬がなく薬局も病院も閉まっていた時にハチミツを試してみるのも一つでしょう。

意外と咳が和らいでくれるかもしれません。