
2018.08.28

少しやっかいな足首の捻挫

こんにちは。東京都板橋区にある運動総合施設ウィンゲートトレーニングセンターのアドバイザリースタッフ紀平です。今日は足首の捻挫について取り上げます。
足首の捻挫はスポーツで最もよく起こるケガの1つです。そのほとんどは、つま先を内側にひねって足首の外側の靭帯を痛めるものですが、時に足首の前側、真ん中辺りを痛めることがあります。
これが少しやっかいなのです。
では、足首の真ん中を痛める少しやっかいな足首の捻挫とは何か? どのように競技復帰すればよいかを見ていきましょう。

このやっかいな捻挫は英語でHigh Ankle Sprainと呼ばれています。
Ankle Sprainは足首の捻挫のことです。
Highというのは、足首よりも少し高いところで発生するということです。
ですから、足首より高いところで発生する足首の捻挫と捉えてください。
どの部分が痛くなるのでしょうか?
つま先を上に上げると、足首の前側にシワがよります。
それよりも指1本分くらい上のところに痛みが起こります。
ここに前脛腓(ぜんけいひ)靭帯という靭帯が存在します。
この靭帯が損傷するのが、High Ankle Sprainです。
どのように発生するのでしょうか?
通常の捻挫は、つま先が内側を向くようにして
足を内側に捻って受傷します。
この時、つま先は下に下がっていることが多いです。
一方High Ankle Sprainでは
つま先が上を向いて、つまりグッと踏み込んでいる時に
つま先が外を向くように捻られて受傷します。
あるいはラグビーやアメフトのようなコンタクトスポーツで
相手選手に足首を上記のように捻られて受傷します。
なぜ、やっかいなのでしょうか?
それは治りが悪いからです。
長い場合、約6ヶ月もの期間が必要です。
先日、記事(↓)に書いた前十字靭帯(ACL)損傷の手術後と同等です。
なぜ治りが悪いのでしょうか?
前脛腓靭帯は立っているだけでもストレスを受けています。
この靭帯は、字の通り、脛骨と腓骨を結んでいます。
脛骨と腓骨の下には足首の骨である距骨が、はまり込むように存在しています。
これは「ほぞ穴構造」に似ているとされています。
ですから、立っているだけで距骨が脛骨と腓骨の間を広げようとして
それらをつなぐ前脛腓靭帯にストレスを加えるのです。
このように
よく発生する外側の靭帯損傷である足首の捻挫とは違う
足首の前側の少し上のほうで発生するHigh Ankle Sprainは
前脛腓靭帯という靭帯の損傷で治りが悪いため
少しやっかいなケガなのです。
この捻挫は、検査の仕方も一般的な捻挫とは異なります。
・ふくらはぎの中央辺りを左右から圧迫して、足首の痛みの発生をみたり
・片足ジャンプの着地時に痛みの発生をみたり
・足首を受傷した時の姿勢にしたり(つま先を上にして外側にひねる)して
総合的に評価します。
また時にスネの外側の骨である腓骨の骨折を合併することがあります。
しかも、骨折が足首周辺ではなく、膝近くで発生することもあり
この種類の捻挫を見るのには注意が必要です。

結論からいうと
この捻挫からの競技復帰方法のゴールデンスタンダードは
まだ確立されていません。
ただし、一般的な捻挫よりも治りが悪いので
注意しつつ慎重にリハビリを進めたほうが良いと考えられています。
また一般的な捻挫には使用することが少ない松葉杖の使用も考慮されます。
ただし足の裏の感覚は失わないように早期から体重をかけないリハビリは実施します。
また、痛みの経過に応じて可動域を回復させ筋力低下を可能な限り抑制します。
そうして時期が経過して痛みが消失してきたら
片脚ジャンプ等が左右差少なく実施できるように進めます。
さらに実際のスポーツ動作を痛みの出ない範囲で順次実施していきます。
競技復帰は
ドクターの診断とあわせて
フィールド/コートでのパフォーマンスを見て判断します。
治りが悪いケガだけに
選手は
「いつになったら治るの?」
「痛みは残っているけど、もう復帰していい?」
と不安や焦りを訴えることが多くあります。
あるいは動きは回復してきていても
ケガをした足首の不安感を訴えることもあります。
そういった時に話を聞いたり、時には励ましたり
過去のことを思い出させて現在と比べて良くなっていることを自覚させたりしながら
少ーしずつ一緒に治していきます。
なかなか耳慣れないケガですが
一説によると足首の捻挫の15%は存在するという話もあります。
治りにくいと思っていた捻挫が
実はHigh Ankle Sprainだったということがあるかもしれません。
足首の捻挫はスポーツで最もよく起こるケガの1つです。そのほとんどは、つま先を内側にひねって足首の外側の靭帯を痛めるものですが、時に足首の前側、真ん中辺りを痛めることがあります。
これが少しやっかいなのです。
では、足首の真ん中を痛める少しやっかいな足首の捻挫とは何か? どのように競技復帰すればよいかを見ていきましょう。
High Ankle Sprain(足首より高いところでの足首の捻挫)

このやっかいな捻挫は英語でHigh Ankle Sprainと呼ばれています。
Ankle Sprainは足首の捻挫のことです。
Highというのは、足首よりも少し高いところで発生するということです。
ですから、足首より高いところで発生する足首の捻挫と捉えてください。
どの部分が痛くなるのでしょうか?
つま先を上に上げると、足首の前側にシワがよります。
それよりも指1本分くらい上のところに痛みが起こります。
ここに前脛腓(ぜんけいひ)靭帯という靭帯が存在します。
この靭帯が損傷するのが、High Ankle Sprainです。
どのように発生するのでしょうか?
通常の捻挫は、つま先が内側を向くようにして
足を内側に捻って受傷します。
この時、つま先は下に下がっていることが多いです。
一方High Ankle Sprainでは
つま先が上を向いて、つまりグッと踏み込んでいる時に
つま先が外を向くように捻られて受傷します。
あるいはラグビーやアメフトのようなコンタクトスポーツで
相手選手に足首を上記のように捻られて受傷します。
なぜ、やっかいなのでしょうか?
それは治りが悪いからです。
長い場合、約6ヶ月もの期間が必要です。
先日、記事(↓)に書いた前十字靭帯(ACL)損傷の手術後と同等です。
高校・大学生が注意すべき膝の痛み
こんにちは。東京都板橋区にある運動総合施設ウィンゲートトレーニングセンターのアドバイザリースタッフ紀平です。 ...
なぜ治りが悪いのでしょうか?
前脛腓靭帯は立っているだけでもストレスを受けています。
この靭帯は、字の通り、脛骨と腓骨を結んでいます。
脛骨と腓骨の下には足首の骨である距骨が、はまり込むように存在しています。
これは「ほぞ穴構造」に似ているとされています。
ですから、立っているだけで距骨が脛骨と腓骨の間を広げようとして
それらをつなぐ前脛腓靭帯にストレスを加えるのです。
このように
よく発生する外側の靭帯損傷である足首の捻挫とは違う
足首の前側の少し上のほうで発生するHigh Ankle Sprainは
前脛腓靭帯という靭帯の損傷で治りが悪いため
少しやっかいなケガなのです。
この捻挫は、検査の仕方も一般的な捻挫とは異なります。
・ふくらはぎの中央辺りを左右から圧迫して、足首の痛みの発生をみたり
・片足ジャンプの着地時に痛みの発生をみたり
・足首を受傷した時の姿勢にしたり(つま先を上にして外側にひねる)して
総合的に評価します。
また時にスネの外側の骨である腓骨の骨折を合併することがあります。
しかも、骨折が足首周辺ではなく、膝近くで発生することもあり
この種類の捻挫を見るのには注意が必要です。
High Ankle Sprainからの競技復帰

結論からいうと
この捻挫からの競技復帰方法のゴールデンスタンダードは
まだ確立されていません。
ただし、一般的な捻挫よりも治りが悪いので
注意しつつ慎重にリハビリを進めたほうが良いと考えられています。
また一般的な捻挫には使用することが少ない松葉杖の使用も考慮されます。
ただし足の裏の感覚は失わないように早期から体重をかけないリハビリは実施します。
また、痛みの経過に応じて可動域を回復させ筋力低下を可能な限り抑制します。
そうして時期が経過して痛みが消失してきたら
片脚ジャンプ等が左右差少なく実施できるように進めます。
さらに実際のスポーツ動作を痛みの出ない範囲で順次実施していきます。
競技復帰は
ドクターの診断とあわせて
フィールド/コートでのパフォーマンスを見て判断します。
治りが悪いケガだけに
選手は
「いつになったら治るの?」
「痛みは残っているけど、もう復帰していい?」
と不安や焦りを訴えることが多くあります。
あるいは動きは回復してきていても
ケガをした足首の不安感を訴えることもあります。
そういった時に話を聞いたり、時には励ましたり
過去のことを思い出させて現在と比べて良くなっていることを自覚させたりしながら
少ーしずつ一緒に治していきます。
なかなか耳慣れないケガですが
一説によると足首の捻挫の15%は存在するという話もあります。
治りにくいと思っていた捻挫が
実はHigh Ankle Sprainだったということがあるかもしれません。