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2018.09.07

秋にも花粉症はある

こんにちは。ウィンゲートトレーニングセンター、ボディケア事業部の岡田です。

涼しくなったと思いきや、台風一過でまた暑くなり、秋雨前線の影響でどんよりした天気が続いたり、セミの鳴き声が少なくなってきたり・・・と、夏が終わり、少しずつ秋めいてきました。

これからの時期、アレルギーを持つ方は厄介な季節ではないでしょうか?

そう、「花粉症」の季節です。

 

 

 

秋の花粉症




おや?と思った方もたくさんいらっしゃるでしょう。「花粉症」といえば真冬~春先にかけてのスギ花粉をイメージされている方が多いと思います。

しかし、秋にも花粉は飛ぶのです。もっと言えば、年中なにかしらの植物の花粉は飛んでいるのです。

「花粉症」とは、植物の花粉が原因でくしゃみや鼻水などのアレルギー症状を引き起こす疾患のことです。何もスギ花粉のみを示しているわけではありません。他の花粉でアレルギー症状が出る方もたくさんいらっしゃいます。


草本花粉


 

夏から秋にかけて症状が出る方は「草本花粉」と呼ばれる、背の低い植物の花粉によるものが原因だと考えられます。

①イネ科(カモガヤ・オオアワガエリ):5月~8月



目の痒みや鼻の症状の他に、皮膚の痒みなどの全身症状が出やすいことが特徴。

 

②ブタクサ:8月~10月

 

秋の花粉の代表格です。道端や河川敷などに生えています。河原の土手近くに住む方が、秋になると症状が出ると訪れることがあります。ブタクサとよく似たセイタカアワダチソウ(ブタクサよりも濃い黄色の小さな花がついています)という植物も河原などに生えていますが、花粉を風で飛散させて増える品種ではないため、ブタクサとは性格が異なる植物です。

 

③ヨモギ:8月~10月



学校や公園などでもよく見かけるのではないでしょうか?草餅の材料としても使われますね。また、葉っぱの裏側はお灸の艾(モグサ)を作るのにも使われます。

 


花粉症って?


 

「アレルギーはないけど花粉症はある」という話をして頂く患者さんが結構いらっしゃいます。知っている人にとっては不思議な表現だと思われるでしょう。しかし、「アレルギー」と「花粉症」は別物だと認識されている方が実は多いのではないかと感じています。

前述しましたが、「花粉症」とは「花粉によるアレルギー反応でくしゃみや鼻水などの症状が出る疾患」のことです。花粉症もアレルギーの中の一つです。

 

 

花粉症はⅠ型アレルギーの1種


アレルギーはその機序によって分類がされていますが、花粉症はその中でも即時型アレルギーと言われるⅠ型アレルギーに分類されています。

花粉症のメカニズムは次の通りです。

 

①花粉が体の中に侵入



②体の免疫システムが応答し、花粉を異物と認識



③Bリンパ球が花粉に対するIgE抗体を産生、IgE抗体が白血球の一種である肥満細胞に結合



④再度花粉が侵入した際に、肥満細胞の表面にあるIgE抗体に花粉が結合



⑤肥満細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が分泌



⑥ヒスタミンなどがそれぞれの場所の受容体に結合し、鼻水やくしゃみ、目の痒みなどが生じる


 

簡単に書くとこの様な形で、花粉症が発症しています。

 

 

花粉症の薬




花粉症、つまりアレルギーに対する薬は上記のアレルギー反応を抑えることで効果を発揮します。

 

①化学伝達物質遊離抑制薬

肥満細胞の膜を安定化させることで、花粉が抗体に結合してもヒスタミンなどの物質を分泌しにくくさせます。効果が出るまでに時間がかかります。

 

②ヒスタミン受容体拮抗薬

アレルギー反応には主にヒスタミンH1受容体が関わっています。ヒスタミンがH1受容体に結合することで鼻水やくしゃみ、目の痒みなどの症状が現れますが、この薬はその結合を邪魔することで効果を発揮します。比較的即効性に優れるため、現在ではよく使用されている薬剤です。市販薬にもなっているアレグラやクラリチン、アレジオンなどはこちらの作用を持つ薬です。

 

③副腎皮質ステロイド薬

細胞の核内レセプターに作用することで様々な反応を抑制します。アレルギー反応を抑制したり、炎症を抑えたり、免疫抑制作用を示します。効果が強い反面、副作用にも注意が必要です。

飲み薬や目薬では、症状が強かったりする場合に一時的に使用されることが多いです。点鼻薬の場合は副作用が少ないため、症状をコントロールするために花粉の飛散期間は使い続けることが多くなっています。

 

①と②の作用を併せ持つ薬もあります。

②のヒスタミンH1受容体拮抗薬は効果が良い反面、眠気が出ることがあります。近年発売されている薬に関しては眠気が少ないものが多くなってきていますが、注意が必要です。

眠気が無くても、知らないうちに集中力が低下してしまう「インペアード・パフォーマンス」と呼ばれる状態にも気を付けた方が良いとされます。

薬を選ぶ際、また病院へ受診される場合には飲む回数・眠気の強さなども考慮して処方してもらうと良いでしょう。

 

 

「花粉症」というやっかいな疾患はスギの時期だけではなく秋にも症状が出る方が増えています。この時期になると鼻水が出るという方、それは風邪ではなく秋の花粉症かもしれません。

 

最後に、花粉症を持つアスリートも多くいらっしゃることかと思いますが、「ドーピング」には気を付けましょう。副腎皮質ステロイドの飲み薬は競技会時に禁止されます。また、鼻詰まりを改善させるために「プソイドエフェドリン」という成分が入っている鼻炎薬もありますが、これも興奮薬として禁止されている物質です。

禁止されない薬はたくさんあるため、必ず確認しましょう。そして、眠気や服用回数は競技パフォーマンスにも影響するため、その辺りのことも是非スポーツファーマシストに相談されることをお勧めします。

 

※スポーツファーマシストについては以前の投稿をご参照下さい:スポーツと薬~スポーツファーマシストの存在~

※一部不適切な内容があったため訂正を致しました(2019.11.16)