
2018.08.21
高校・大学生が注意すべき膝の痛み
こんにちは。東京都板橋区にある運動総合施設ウィンゲートトレーニングセンターのアドバイザリースタッフ紀平です。
今日は高校・大学生年代が注意すべき膝の痛みについて取り上げます。
スポーツをしていると、膝の痛みは比較的よく起こるトラブルです。
ランナー膝やジャンパー膝など、ランニングやジャンプ動作によって膝に痛みが起こることがあります。
また、とくに女性では、骨の形状の性差等から膝の捻挫を起こすことがあります。
スポーツで注意すべき膝の痛みには、どのようなものがあるでしょうか?

スポーツで発生するケガをスポーツ傷害と総称します。
スポーツ傷害は、ぶつかったりひねったりで突然に発症するスポーツ外傷と、慢性的なストレスによって緩徐に発症するスポーツ障害があります。
つまり
スポーツ傷害=スポーツ外傷 + スポーツ障害
です。
けど、似たような呼称なので覚えにくいですね。
膝に発生するスポーツ外傷の代表的なものに、捻挫、つまり靭帯損傷があります。
膝の捻挫でとくに問題になるのが、前十字(ぜんじゅうじ)靭帯損傷です。
前十字靭帯を損傷すると、多くの場合、靭帯はほぼ完全に断裂します。
ですから、関節がグラッグラになって
そのままではスポーツできないことがほとんどです。
同レベルへのスポーツ復帰を望む場合
ほとんどのお医者さんは手術を勧めるでしょう。
また、手術後すぐに復帰できるわけではありません。
手術内容は、太ももの後ろ側から靭帯の代わりになる腱を取ってそれを束ね
靭帯の代わりになるよう骨に打ち付けることが多いのですが
腱が靭帯の代わりとして働きつつ、骨に安定するまでに期間がかかりますし
その期間で低下した膝の動きや膝まわりの筋力を回復させ
スポーツ動作に繋げつつケガを起こした原因を排除していくのにもまた、長期を要します。
具体的には最低でも6ヶ月。
再発の心配を少なくするなら、8ヶ月以上は必要といわれています。
たとえば今日8月に受傷してすぐに手術を受けられたとしても
来年の4月以降の復帰となります。
ですから、高校3年生、大学4年生がこの時期に受傷したなら
非常に残念ですが、もう今のステージで活躍できる望みは薄いのです…
このように、膝の捻挫の中でも前十字靭帯損傷は
スポーツ活動に大きな影響を及ぼし得ることから
予防に大きな力が割かれており
様々な準備運動の方法が提唱され、検証が重ねられています。
ウォーミングアップの中で、この予防的な運動を取り入れるよう
推奨している団体もあります。
有名なのが、FIFAの関連団体が出している「11+」でしょう。
http://www.jfa.jp/football_family/medical/11plus.html
これは前十字靭帯損傷予防のためだけの運動法ではありませんが
この中には前十字靭帯損傷予防に重要と考えられている運動法も多く取り入れられており
かつ運動の強度が段階的に増していけるので
ただのケガ予防としてだけでなくパフォーマンス向上にも寄与するものと考えられます。

慢性的なストレスによって緩徐に発症するのがスポーツ障害でした。
膝のスポーツ障害には、ランニング膝やジャンパー膝があります。
これらはスポーツ(動作)の名称が付いているため
ランニングまたはジャンプで発生することの多い膝のスポーツ障害の総称です。
が、一般的には
ランニング膝は腸脛靭帯炎
ジャンパー膝は膝蓋靱帯炎
を指すことが多いでしょう。
上に「慢性的なストレスで発生する」と書きましたが
要は十分な体力(柔軟性、筋力、持久力など)がないのに
運動をやり過ぎて発症します。
たとえば
ランニング膝は
股関節の横側の不十分な筋力によって
膝が内側に入る姿勢で発生し
ジャンパー膝は
太もも前の不十分な柔軟性によって
膝が過度に前に出る姿勢で発生する
と考えられています。
これらの背景があるまま(その不十分な体力に見合っていない)
運動量を実施すると発生します。
ですから、運動量を調節しつつ
その原因となる悪い姿勢を直していく必要があります。
姿勢を分析して姿勢にアプローチしないと
運動量を調節するだけでは、片手落ちです。
つまり、運動を再開すれば、症状が再発するのです。
これが、私たちウィンゲートのトレーナーが
姿勢分析(Wパス)と、それに応じたパーソナルトレーニングを
重要で有益なものだと考えている根拠です。
上記のように一般的に「このような痛みがある人は、このような姿勢が多い」とは言えますが
姿勢は人それぞれに異なるものですから
個別に分析して、その人に応じた姿勢改善のための運動を実施する必要があります。

スポーツによるケガ、スポーツ傷害には
スポーツ外傷とスポーツ障害とがあります。
それぞれの具体的なケガの内容や治療法は上記のとおりです。
けど、高校生・大学生スポーツ選手は
スポーツばかりやっているわけではありません。
学校に通って授業を受けていますし
アルバイトをしている人もいるでしょう。
何より、一般の社会生活を送っています。
そう考えると
スポーツ以外が原因で膝に痛みが発生して
それがスポーツによって顕在化する可能性に思いが至ります。
これが高校生・大学生が注意すべき膝の痛みです。
たとえば
・夜寝ている時に痛い
・膝が全体的に熱っぽい
他にも
・運動量を軽減しても痛みが軽減しない
・期間の経過とともに痛みが悪化する
・運動に関係なく痛みが発生する
などがある場合は、要注意です。
20歳前後には、膝などに骨のデキモノができることがあります。
これが原因で、スポーツ等によってストレスが加わった時に痛みを起こすため
時にスポーツ傷害と見誤ってしまうことがあります。
はじめから、このような稀な病気を疑うことは多くありませんが
痛みが長引く時や熱っぽさ、夜間の痛み、運動に関係ない痛みがある場合には
スポーツ傷害以外の可能性も含めて考え
病院で適切な診断を得ることも選択肢の1つとするべきです。
今日は高校・大学生年代が注意すべき膝の痛みについて取り上げます。
スポーツをしていると、膝の痛みは比較的よく起こるトラブルです。
ランナー膝やジャンパー膝など、ランニングやジャンプ動作によって膝に痛みが起こることがあります。
また、とくに女性では、骨の形状の性差等から膝の捻挫を起こすことがあります。
スポーツで注意すべき膝の痛みには、どのようなものがあるでしょうか?
膝のスポーツ傷害

スポーツで発生するケガをスポーツ傷害と総称します。
スポーツ傷害は、ぶつかったりひねったりで突然に発症するスポーツ外傷と、慢性的なストレスによって緩徐に発症するスポーツ障害があります。
つまり
スポーツ傷害=スポーツ外傷 + スポーツ障害
です。
けど、似たような呼称なので覚えにくいですね。
膝のスポーツ外傷
膝に発生するスポーツ外傷の代表的なものに、捻挫、つまり靭帯損傷があります。
…と当然のように書きましたが
捻挫は靭帯損傷なんです!
ですから「膝の捻挫と言われたから靭帯は大丈夫」と思わないでくださいね。
捻挫は重症度が3つに分けられて一般的には
軽症:軽度の靭帯損傷で関節がグラグラしないもの
中等症:中等度の靭帯損傷で関節がグラグラするもの
重症:重度の靭帯損傷(または完全な靭帯の断裂)で関節がグラッグラのもの
に分類されます。
いわゆる靭帯損傷を重症の捻挫のみと考えることもできますが
軽症であっても靭帯損傷が起こっていることに違いはありません。
きちんと治療しないと、捻挫の再発(「クセになる」というものです)や
関節のグラグラが恒常化してしまい
後年のパフォーマンス低下のみならず新たなケガを引き起こすことがあります。
…と話が横道にそれました。
膝の捻挫でとくに問題になるのが、前十字(ぜんじゅうじ)靭帯損傷です。
前十字靭帯を損傷すると、多くの場合、靭帯はほぼ完全に断裂します。
ですから、関節がグラッグラになって
そのままではスポーツできないことがほとんどです。
同レベルへのスポーツ復帰を望む場合
ほとんどのお医者さんは手術を勧めるでしょう。
また、手術後すぐに復帰できるわけではありません。
手術内容は、太ももの後ろ側から靭帯の代わりになる腱を取ってそれを束ね
靭帯の代わりになるよう骨に打ち付けることが多いのですが
腱が靭帯の代わりとして働きつつ、骨に安定するまでに期間がかかりますし
その期間で低下した膝の動きや膝まわりの筋力を回復させ
スポーツ動作に繋げつつケガを起こした原因を排除していくのにもまた、長期を要します。
具体的には最低でも6ヶ月。
再発の心配を少なくするなら、8ヶ月以上は必要といわれています。
たとえば今日8月に受傷してすぐに手術を受けられたとしても
来年の4月以降の復帰となります。
ですから、高校3年生、大学4年生がこの時期に受傷したなら
非常に残念ですが、もう今のステージで活躍できる望みは薄いのです…
このように、膝の捻挫の中でも前十字靭帯損傷は
スポーツ活動に大きな影響を及ぼし得ることから
予防に大きな力が割かれており
様々な準備運動の方法が提唱され、検証が重ねられています。
ウォーミングアップの中で、この予防的な運動を取り入れるよう
推奨している団体もあります。
有名なのが、FIFAの関連団体が出している「11+」でしょう。
http://www.jfa.jp/football_family/medical/11plus.html
これは前十字靭帯損傷予防のためだけの運動法ではありませんが
この中には前十字靭帯損傷予防に重要と考えられている運動法も多く取り入れられており
かつ運動の強度が段階的に増していけるので
ただのケガ予防としてだけでなくパフォーマンス向上にも寄与するものと考えられます。
膝のスポーツ障害

慢性的なストレスによって緩徐に発症するのがスポーツ障害でした。
膝のスポーツ障害には、ランニング膝やジャンパー膝があります。
これらはスポーツ(動作)の名称が付いているため
ランニングまたはジャンプで発生することの多い膝のスポーツ障害の総称です。
が、一般的には
ランニング膝は腸脛靭帯炎
ジャンパー膝は膝蓋靱帯炎
を指すことが多いでしょう。
いずれも「靭帯」と付いているので
いわゆる「靭帯」のケガと間違えやすいのですが
解剖学では骨と骨を結ぶ線維を靭帯と呼んでいて
これらは一般的に想像される靭帯とは少し役割が異なります。
上に「慢性的なストレスで発生する」と書きましたが
要は十分な体力(柔軟性、筋力、持久力など)がないのに
運動をやり過ぎて発症します。
たとえば
ランニング膝は
股関節の横側の不十分な筋力によって
膝が内側に入る姿勢で発生し
ジャンパー膝は
太もも前の不十分な柔軟性によって
膝が過度に前に出る姿勢で発生する
と考えられています。
これらの背景があるまま(その不十分な体力に見合っていない)
運動量を実施すると発生します。
ですから、運動量を調節しつつ
その原因となる悪い姿勢を直していく必要があります。
姿勢を分析して姿勢にアプローチしないと
運動量を調節するだけでは、片手落ちです。
つまり、運動を再開すれば、症状が再発するのです。
これが、私たちウィンゲートのトレーナーが
姿勢分析(Wパス)と、それに応じたパーソナルトレーニングを
重要で有益なものだと考えている根拠です。
上記のように一般的に「このような痛みがある人は、このような姿勢が多い」とは言えますが
姿勢は人それぞれに異なるものですから
個別に分析して、その人に応じた姿勢改善のための運動を実施する必要があります。
ので、残念ですが、改善のための具体的なエクササイズまではあまり紹介できません。
要注意の膝の痛み

スポーツによるケガ、スポーツ傷害には
スポーツ外傷とスポーツ障害とがあります。
それぞれの具体的なケガの内容や治療法は上記のとおりです。
けど、高校生・大学生スポーツ選手は
スポーツばかりやっているわけではありません。
学校に通って授業を受けていますし
アルバイトをしている人もいるでしょう。
何より、一般の社会生活を送っています。
そう考えると
スポーツ以外が原因で膝に痛みが発生して
それがスポーツによって顕在化する可能性に思いが至ります。
これが高校生・大学生が注意すべき膝の痛みです。
たとえば
・夜寝ている時に痛い
・膝が全体的に熱っぽい
他にも
・運動量を軽減しても痛みが軽減しない
・期間の経過とともに痛みが悪化する
・運動に関係なく痛みが発生する
などがある場合は、要注意です。
20歳前後には、膝などに骨のデキモノができることがあります。
これが原因で、スポーツ等によってストレスが加わった時に痛みを起こすため
時にスポーツ傷害と見誤ってしまうことがあります。
はじめから、このような稀な病気を疑うことは多くありませんが
痛みが長引く時や熱っぽさ、夜間の痛み、運動に関係ない痛みがある場合には
スポーツ傷害以外の可能性も含めて考え
病院で適切な診断を得ることも選択肢の1つとするべきです。